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胖姐看中国  作者: 胖姐
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第六十四話 自販機が珍しい国

日本は治安の良い国だと言われます。

その証拠に、街中に自動販売機がたくさん設置されているのに、窃盗の被害が少ないということが挙げられます。


今でこそ中国でも大都市の地下鉄駅に、ペットボトル入り飲料の自動販売機が存在するようになりましたが、1990年代の中国では、自動販売機を見かけることが全くありませんでした。

何しろ人口の多い国なので、本体やメンテナンスにお金がかかる機械よりも、安い賃金で人を雇ったほうが、ずっと経費が掛からない!

当時は夏でも冷たい飲料を飲む習慣がありませんでしたので、自動販売機で缶やペットボトルをキンキンに冷やす必要がないわけです。だから、機械は不要。

しかも、当時は1元硬貨が上海以外の都市ではあまり普及していなかったため、機械に投入可能なコイン自体が存在しないわけです。……そりゃー、自販機を見かけないわけだわ(;’∀’)


私が中国で初めて自動販売機を見かけたのは、1995年の夏でした。

場所は北京・建国門外大街の国際貿易センタービル内にあった、エアチケット販売センターです。

外国人の利用客が多いという土地柄を反映して、赤字に白のロゴがまぶしい自動販売機で売られていたのは、コカ・コーラとスプライトでした。

北京に留学して2年間、一度も自動販売機を見ることが無かった私は、

『うぉーっ、自販機だぁー』(^▽^)/

と、ピカピカの機械を前にして、ちょっとワクワクしてしまいました。

早速、自販機でコカ・コーラを買ってみようと思ったのですが、あいにく私の財布の中には1元コインが無い!

仕方ないので、チケットカウンターの係員に頼んで少額紙幣をコインに両替してもらい、ドキドキしながら自販機に近づきました。

そして、1元コインを投入口に入れようとした、その途端………

どこからともなく係員のおばちゃんが現れて、


「あっ、飲み物を買うの?…コーラでいい?」


と、私のコインをつまみあげて、投入口にチャリンと投入し、しかも勝手にボタンを押してしまったのです。


「あ、あ、あ……。(震えて言葉にならず)。何で勝手に買っちゃうのよ~~!」( ;∀;)

「え?何でそんなに怒っているの?最新の機械だから、私が機械を操作しなくちゃ危ないでしょうが。」


……そうです、そうなのです!

当時の北京には、まだまだ機械慣れしていない人が多かったため、駅のエスカレーターにいたるまで、公共の場所にある珍しい機械設備には、必ずそばに係員がいて、たまに利用客が来ると、正しい使い方を説明するとともに、無知な利用客に高価な機械がいじくりまわされて壊されないように見張っていたのです。さすが人が余っている国は、やることが一味違うね。( ̄― ̄)


その後、地下鉄の駅やショッピングセンターで、スピード照明写真の撮影ボックス(これも自販機の一種)を、ちらほら見かけるようになりましたが、やはり係員のおばちゃんが、ボックス内の椅子にデンと腰を下ろして、こちらを見張っているのです。

そんな係員を見るたびに、私は、『係員がいるなら、自動化する意味がないじゃん……』と、つぶやいてしまうのでした。

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