第六十二話 トヨタのクラウンはみすぼらしいの?
中国の北京、上海、香港などの大都市で、スーパーカーが走っているのを見かけることが多くなりました。
わずか数日間の滞在中、上海の高架道路(=高速道路)でランボルギーニに追い抜かれたことが2回、香港のホテルでポルシェオーナー達が愛車とともに集まっていたのが1回……。
今や中国のほうが日本よりも高級車が走っているかもしれません。
1990年代、中国で個人オーナーの自動車はまだまだ少なく、タクシーくらいしかありませんでした。スポーツカーなんてとんでもない!
私の北京留学時に、時事解説の先生が、
「中国にモータリゼーションがくることはないでしょう。土地が無いので駐車場がありません。」
……センセイ、自動車が普及している日本の国土は、アナタ達の中国よりもずっと狭いですが(・・?
土地が狭くても自動車は走っていますよ(;^ω^)
案の定、先生の発言から10年も経たないうちに、中国全土に自家用車が普及しました。
今や普通のサラリーマンでも、マイカー通勤しています。
当時、私の先生が懸念していた駐車場問題ですが、マンションの敷地内の生活道路を転用したり、新しく分譲されるマンションだと地下駐車場を設けるなどして、何となく何とかなっているというのが実情です。(不思議なことに、中国にタワー型の駐車場は、ほとんどありません)
金持ち=偉い人と考える中国人ですから、自家用車を選ぶ時には、ステータスを象徴するものとして高級車を選ぶことが多いです。
個人事業主が多く、会社の収入と個人の収入の区別があいまいなので、社有車として高級車を購入して、ガンガン乗り回しています。
だから、最近の中国人は、企業経営者は必ずベンツ、BMW、ポルシェ、フェラーリなどの超高級車に乗っているという思い込みがあるようです。
つい最近、中国からの来訪者が、私の勤務先の役員専用車(黒のトヨタ・クラウン)を見て、
「これはどなたの車ですか?」
「これですか?弊社の役員が乗っておりますが。」
「……えっ?……役員なのに、こんなみすぼらしい車に乗っているの……。」(・_・;)
と、ショックを受けていました。
日本だと、客先を訪問する際に、あまり派手な車に乗っていると目を付けられることがあるので、社有車では、ほどほどのクラスの車を選ぶことが多いんですよね。
中国人には、この日本人特有の中庸を尊ぶ横並び感覚(?)が、どうやら理解出来ないようです(;^ω^)




