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胖姐看中国  作者: 胖姐
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第五十九話 私の血はワインで出来ているの

中国のワインブームもすっかり定着しました。


経済的に豊かになった人々の中で、中華料理にワインを合わせるというのが”スノッブでおしゃれ”という認識になってきたからだと思います。

また、ワインの中でも貴重なものは、価値が原価の何倍にもなるという投機性が、中国人のギャンブラー気質にあっているのだと思います。

流行しているのは、欧米から輸入されたワインです。

お金のある人達は、フランスのシャトーを爆買いして、自分のためにオリジナルワインを作らせるということもやっています。

フランス系スーパーの”カリフール”には、フランスから直輸入された各種ワインが売られています。価格も、普段使い出来るものから高級品まで様々です。


もちろん、中国でもワインは醸造されています。

一番有名なメーカーは、”長城”(GREAT WALL)。ちゃんと赤と白があります。

なんと周恩来総理(毛沢東の片腕として活躍した有名政治家)の希望で創設されたワイナリーらしい……。中国系航空会社のフライトで提供されるのは、このメーカーのワインです。

他にも、”王朝”(DYNASTY)などが有名です。こちらのメーカーは、フランスのレミーマルタンが資本・業務提携しているんだって。その他には”張裕”(CHANGYU)という清代末期に創業された老舗もあります。

上記の中国3大メーカーで、国内で消費されるワインのなんと70%を占めているそうです。


中国でのワインの飲み方ですが、料理に合わせて楽しむほかにも、赤ワインをスプライトで割って飲むという、かなり乱暴なものもあります。

これは、夜の世界の小姐(おねえさん)達に人気の飲み方らしい……。飲みやすくて酔いにくいからかな?

私も赤ワインのスプライト割りを飲んでみたことがありますが、"グレープ味のファンタWITH微妙なアルコール"、という感じでした。

こんな飲み方をする時には、もちろん高いワインは使いません。銘柄も怪しい中国産の安ワインです。


さて、中国製ワインにまつわるエピソードを一つご紹介しましょう。


私の友人Aさんが日系商社の駐在員として中国で働いていた時のことです。

ある日、日本から上海に出張してきたBさんを接待することになりました。

Bさんは、日本にある某酒造メーカーで、長年ワインのバイヤーをされている人です。

いわゆる”神の舌”の持ち主。ワインを一口飲んだだけで、産地や醸造年などをピタっと当てることができます。


上海の外灘を望む素敵なレストランで、BさんはAさんに言いました。


「私は海外に出張する時は、必ず現地のワインを試してみるんですよ。

このレストランも中国製のワインを置いていますか?」


Aさんは、それを聞いて慌てました。なぜなら、中国製のワインのレベルをよく知っていたからです。ヤ、ヤバい、接待が失敗したらどうしよう……(;’∀’)

Aさんは内心で冷汗をかきながら、Bさんに言いました。


「中国製ですか……。もしかしたら今日の料理には合わないかもしれませんので、おやめになるほうがよろしいかと思いますが。」


しかし、Bさんは『職業柄、どんなワインでも試してみたい。中国のワイナリーは珍しい』と言って、Aさんの反対を押し切って、レストランのワインリストに載っていた中国製ワインをオーダーしました。

そして、ソムリエがうやうやしく持ってきたワインを、きちんとティスティングして、ただひとこと、


「………このワインは、正体が分かりません。(ーー)」


なんじゃそりゃ( ゜д゜)

正体が分からないって、どういう意味なんじゃ~~!?!?

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