第四十八話 偉大なり、ホットジンジャーレモンコーラ
約10年前に中国の広州市に出張に行った時、日本では初夏の陽気だったにも関わらず、現地は数十年に一度の記録的な猛暑日が続いていました。
工場の倉庫内は、空調が入っているのに余裕の40℃越え。
そんな気温の中、一日中、現地スタッフと一緒に金型の棚卸しをしなければならないのです。
普通の日本女性ならば、10分も我慢出来ないですよ。
さすがの私も、現地の気温に耐えられず、ひどい熱中症になり、微熱が下がらず、連日胃腸の調子が悪く、何も食べ物を受け付けられなくなり、体力が落ちてすっかり弱りきっていました。
その様子を見た現地商社の方が、私のためにレストランでオーダーして下さったのが、”熱姜檸可楽”です。
名前からはどんな食べ物なのか想像も出来ないですが、要するに、温めたコーラの中に、生姜のすりおろしとたっぷりのレモンスライスが入った飲み物です。(日本語だとホットジンジャーレモンコーラ)
これが弱った身体に実に美味しかったです(◎_◎;)
温めることで炭酸が抜けて、普段は感じにくいコーラの漢方薬のような味わいと強烈な甘みがぐっと全面に出てきており、それをレモンと生姜が適度に引き締めるといった感じでしょうか。
現地の方から聞いたところによると、コーラにはかなりの糖分が入っているので、足りないカロリーをまずは糖分で補い、フレッシュレモンでビタミンCを補填、さらに生姜で弱った胃腸を温めて体力を上げる効果があるそうです。
炭酸飲料ならば何でも使えるというわけではなく、もともと漢方薬に似た成分が入っているコーラでなければならないのだとか。また、糖分が入っていないとダメなので、コーラはクラッシックタイプを使わなければならないそうです。
中国人や香港人は、一般的にこの飲み物を風邪気味や、ちょっと体調が悪い時に飲みます。
熱姜檸可楽を飲んで、少し身体を動かして汗をかけば、一晩で風邪などどこかに行ってしまうといいます。(日本の葛湯とか甘酒みたいなものですね)
私も熱姜檸可楽だけを飲んで、なんとか過酷な1週間の中国出張を乗り切りました。
週末の飛行機で日本に戻り、ゆっくり身体を休めて、翌週、すっきりした顔で会社に出社したら………一緒に出張に行った他のメンバーや上司達は、帰国後、なんと全員、熱中症で入院していました(;^_^A
やはり熱姜檸可楽を飲んでいたかどうかが勝負の分かれ目だったのでしょうか!?!?
熱姜檸可楽は、電子レンジで簡単に作れるので、けっこうお勧めの飲み物です。私は今でも風邪気味になるとこの飲み物を飲んでいます。




