第四十六話 外来語って……
日本では、外国人というと、英語を話す人達というイメージがなんとなくありますが、世界的にみると、フランス語、スペイン語、中国語を話す人達のほうが多いのではないかと思います。
私の北京留学時代、また、上海での駐在時代にも、身の回りにフランス語を話す人達がけっこういました。
けっこう意外だったのは、かつてフランスあるいはベルギーが統治していたアフリカ諸国から中国に来ている人達です。彼らは旧領主国の言葉であるフランス語を母国語としており、フランスのソルボンヌ大学卒業生なんていうのがゴロゴロいました。
私が北京に留学していた時代に、彼らがバレーボールの試合をしているのを見たことがあるのですが、お互いに、
「セボァ!」、「セボァ!」
と声掛けをしているのです。不思議に思った私が意味を訪ねると、
「う~~ん、何て説明したらよいのかね……。セボアは、きちんと発音すると"C'est bon"。この言葉は使う場面によって意味が変わってくるけれど、”よしっ!”とか、”イケてる!”とか、”ヤバい!”という意味になるかな。」
という答えが返ってきました。
…………( ゜Д゜) えっ!?!?
つまり、日本の『トイレにセボン』って、『トイレにイケてる』という名前なの??
トイレの何がイケてるの??……語感はいいですが、よく考えるとけっこう意味不明な商品名ですよね。
私が、アフリカからの留学生達に、日本では”セボン”というと、有名なトイレの芳香剤の名前だというと、彼らはお腹を抱えて笑っていました。( ̄▽ ̄)
また、北京留学時代に、同じクラスのフランス人留学生に、ある日、日本語的なカタカナ発音で、
「シャネル」
と言ったら、まったく通じなかったので、”CHANEL”と綴りを書いたところ、
「OH!(*’▽’) 胖姐さん、それは、“シャネィル” ねっ」
と、発音を直されました………_| ̄|○
ついでに、よい機会なので、彼女にフランスの有名アパレルメーカーや企業名をいくつか発音してもらったのですが、本場の発音だと、肝心のブランド名がほとんど聞き取れないことが分かりました。フランス語の発音は日本人にとって難しすぎるんですよ~~。
例えば、日本からは撤退してしまいましたが、外資系大型スーパーで有名な”カリフール”も、フランス語では、”ンキャリフォッ”というような発音になります。
こんな名前では日本人には発音しにくくて仕方ないです。もう日本人には、カタカナ発音のカリフールでいいですよ。(-_-メ)
ちなみに中国語では、カリフールは、”家楽福”と言います。こちらもフランス語の発音からは、ちょっと遠い気がします。どちらかというと、日本語での名前に近いですよね。
中国語の場合、外来語を作成する時に、原語の”意味”から翻訳するのか、それとも”発音”から翻訳するのかで、ずいぶんと仕上がりの語感が違ってきます。
発音から中国語に翻訳した例では、”夏奈兒”(シャネル)、”廸奥”(ディオール)など。ちょっと変わったところでは、”丸山敬太”(ケイタ マルヤマ)があります。ヒネリがなくて、本当にそのままの漢字表記ですね……。人名だから仕方ないのですが。
意味から中国語に翻訳した例では、”先鋒”(パイオニア)、”七十一便利店”(セブンイレブン)など。
その他にも、原語の発音に近くて、しかも漢字の意味も良いものでは、”愛馬仕”(エルメス)、”豪雅”(タグホイヤー)、”路易威登”(ルイヴィトン)など。
私は、ルイヴィトンの訳語は、かなりの傑作だと思います。前途が容易に開けて、威光はますます高まるという意味ですから。発音的にも、ルーイーウェィドンなので、原語と似ています。
縁起をかつぐ中国人にルイヴィトンが人気なのも当然だと思います。




