第四十一話 学生にも色々な人がいる
中国における海外留学生は、いくつかのグループに分けられます。
①公費留学生
国の奨学金をもらっている学生、また官公庁から派遣されている官員。
外務省から派遣されてきている外交官の卵は、むやみやたらと頭が良い人が多い。
そのなかでも、性格が温厚で、誰もが認める語学の才があり、しかもリーダーシップをとれるタイプの人は、学内の留学生の代表者に推されていました。
私はクラスメイトの日本外交官の卵から、ニュース報道の捉え方や文章の書き方を教えて頂きました。非常感謝。
②私費留学生
母国の大学受験に失敗した若者、母国の大学からの交換留学生、いったん社会に出て、資金を貯めてから留学した人、定年退職後に留学した人、駐在員の奥様など理由は色々。
いちばん人数が多い。当時、私が所属していたのもこのグループです。
③企業留学生
銀行員、商社マン、各種メーカーやサービス業などからも派遣されてきています。
帰国後は中国と関わりのある業務に付く予定があるため、留学中に語学レベルを一定水準まで上げなければならず、一番まじめに勉学に励んでいます。
変わり種の企業留学生としては、日本の暴力団から派遣されてきている人もいました。
当時の北京には、日本の暴力団がフロント企業の名前で中国進出していたんですよ。暴力団から派遣されてきている構成員さんは、万が一落第したりしたら、自分の命がヤバいので、けっこうまじめに勉強していたみたいです(;^ω^)
④貴族、高官の子弟などのセレブ
残念ながら私の留学時代にはあまり見かけませんでしたが、アフリカの某国の王子様など。
モンゴル大統領のお嬢さんは私と同じ大学に在籍していました。
アフリカ諸国から来ている留学生は、たいていこの種類のセレブです。(見かけからは分からない)
長期休暇になると、ヘリコプターが留学生寮まで迎えにきちゃうような人達です。
海外留学生のなかには、北朝鮮から公費で留学しにきている人もいました。
母国に比べて、あまりにも北京が発展しているので、差異に悩んでノイローゼになってしまったり、韓国人留学生のグループと付き合ううちに資本主義化(?)してしまい、国にバレて強制帰国させられる羽目になった人もいました。
韓国人留学生とアフリカ諸国からの留学生は、なぜか仲が悪くて、いつも寮内で小さな衝突を繰り返していました。アフリカ諸国からの留学生に言わせると、日本人は他のアジア人と違い、黒人に対する差別意識が薄いので友好関係を保ちやすい、とのことです。(……本当かな?)
留学生だけでなく、中国の学生にも色々な出自の人がいました。
地方の大秀才、資産家の子弟、共産党高官の子弟などなど……。
かつて毛沢東のお孫さんも、私が留学した大学に通っていました。
普通の乗用車は校内に乗り入れ禁止だったのですが、毛さんに限っては、リムジンを校内に乗り入れて、教室棟まで横付け出来たそうです。
そして、マシンガンを持った2人のボディーガードに挟まれて、一番前の席に座っていたのだとか。
常にボディーガードが周りの学生に銃を向けているので、毛さんは在学中に誰も友達が出来なかったことで有名でした。
彼の自宅は、国の機密に属するため、当時の地図上には表示されていなかったのですが、北京の西郊外にあり、敷地内にテニスコートがあって、住み込みの庭師などもいるような、ものすごく広大なお屋敷だったそうです。(私の家庭教師の同級生が、毛さん宅の使用人の子弟だったので教えてもらいました)
今の学生さん達は、どんな感じなんでしょうかね~~?
社会全体が豊かになってきたので、昔のように、奨学金をもらっている田舎の大秀才はいないかもしれませんね。
日本と一緒で、入学後は勉強しないで遊んでしまう学生が増えているんでしょうか?




