第十五話 私は健康ですよ
最近、外国人労働者に対する中国の就労ビザ発給ルールが変更になりました。
今後は、政府の決めた条件に対し、申請者のスキルがどれくらいのレベルにあるのかを数値化し、その合計点でA~Cの3つのランクに振り分けるそうです。AとBについては、就労ビザが下りますが、Cについては就労ビザが下りなくなります。
まぁ、全部で13億以上の国民を抱える国ですから、すべての仕事を自国の人材でまかないたいというのは分かるのですが……。
これまでも中国のビザ取得(留学、就労)には、さんざん泣かされてきました。
職務経験、語学スキル、最終学歴、健康状況などなど……。ハードルが高いんですよ。
特に、私が『イヤだなー』と思ったのは、梅毒とエイズのキャリアかどうかの検査です。
ごく地味ーな生活を送る日本人女性が重篤な性病にかかる可能性は低いと思うんだけどなー。
1993年の初夏、私は長期留学ビザ取得のため、日本で必要な健康診断を受けることになりました。
中国政府の指定しているクリニック、または国公立及び私立の総合病院、各市町村の保健所(公的機関)の捺印のある診断書しか認められないと聞いていたので、都内の某医科大学付属病院で検査を受けました。
耳鼻科、眼科、胸部レントゲン、内科…と無事に検査が終わって、最後は血液検査(肝炎・梅毒・エイズ)を残すのみとなりました。
私が病院の待合室で大人しく順番を待っていると、看護師さんが、とてもよく通る声で、
「梅毒とエイズの方ぁ~~。次、〇番診察室へお入り下さ~い!」
とたんに"シーン"となる待合室。あたりに漂う気まず~い雰囲気。
『いやっ、違うからっ、梅毒とかヤバめの病気持ちじゃないからっ、単に検査に来ただけだからっ、ビザ取るのに要るだけだからっ、違うからっ、頼むから信じてくれよー( ;∀;)』
と大声で言い訳したいのを堪えて、背中を丸めてコソコソと診察室に入る私。
そして、その姿を見た他の患者さんが、背後でヒソヒソ……。
なお、この時頂いた診断書には不備があり、中国に到着後、北京の検疫所で、結局もう一度梅毒とエイズの検査を受ける羽目になりましたとさ。チャンチャン♬
私の名誉のために申し上げておきますが、今年受けた血液検査でも、肝炎・梅毒・エイズに感染していないことが証明されております。だから、いつでもビザが取れるぜ( ´∀`)bグッ!