第十四話 あ、俺、明日からフランス人だから
あなたの身近には、日本から外国へ『移民』した人がいますか?
そんな人は、それほどいないんじゃないかなぁ。
最近は富裕層のシンガポール移住が流行っているようですが、あれは、あくまでも"一時的な移住"であって、現地に永住したり、帰化するわけではないと思います。
なんだかんだいっても、菊花のJAPANパスポートの威力はすごい!
信用があるので、ノービザで入国出来る国も多いです。
日本人とは違って、中国人の多くが『移民』を考えたことがあるといってもよいでしょう。
現在、中国は共産党の一党独裁下に置かれており、情報入手や戸籍の移動に一定の制限を設けているため、ちょっと小金のある中国人ならば、①海外に留学→②現地で就職→③その国に帰化→④親族呼び寄せ→⑤一族で自由に金儲けしてウハウハ、を実行にうつしています。
私の上海在住時にも、現地の同僚から、
「あ、俺、明日からフランス人だから。ウチの家族だけ先に行っちゃってさぁ……。」
「来年にはオーストラリアに移民するつもり。」
「今、息子がカナダに留学して、もうすぐ国籍が取れるから、そしたら自分も行くんだ。」
なんて、よく耳にしたものです。
特に、"明日からフランス人"と言った同僚については、
『アンタのどこがフランス人なんじゃー』
と怒りを覚えるくらいの極東アジア人顔でした。当時、彼はフランス語は出来なかったんじゃないかなぁ。
中国人の"明日から国籍変わる"というフットワークの軽さに、日本人はついて行かれない気がしました。
海外に移民した中国人は、彼らのコミュニティーの中で、母国語だけを使って生活が可能なので、現地に溶け込まず、トラブルの素になったりしているようです。
『えっ、こんな所にまで!?』というくらい世界のあちらこちらに中国人は住み着いているので、たとえスイスのマッターホルンに行ったとしても、中国語さえ話せれば、街で中華料理店を経営している中国系移民から現地の最新情報をもらって、個人旅行も楽々♪♪…なんだとか。
(その代わり、旅行中に、あまり美味しくない中華料理を食べる回数が増えますが……)
実際、中国語が堪能な私の友人(日本人)が、アメリカのニューヨークに行った際、タクシーの運転手やホテルマンをしている中国系移民が多かったので、滞在中は英語ではなく中国語を使う機会のほうが多かったそうです。
まぁ、世界の人口の1/3は中国語を話す人達だといいますからね。
日本は『海外に長期滞在したくない』人が多いといいますが、これからは中国人のフットワークの軽さを取り入れないと、生き残っていかれないかもしれませんね。