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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

僕の中に隠れた何か

作者: 血羽猫

僕は今まで見た事が無い店に居た。

薄暗い無人の店。

店の外も人間も存在しない。

つまりここには僕しか居ないって事だ。


何も分からないまま歩いていた。

ここは本当に何も無い。

何故か少し寂しく感じた。


とりあえず落ち着いてここに来るまでの記憶を思い出そうとした。

だが、どうしても思い出せなかった。


どうしてここに来たのだろう。

ここに来るまで何をしていたのだろう。


それさえも分からなかった。


店を見てまわっていると、二階へ続く階段を見つけた。

僕はゆっくり一歩を踏み出した。

ぎしっ、ぎしっ、と音をたて、埃が舞っている。

長い間、使われていなかったのだろう。


少し進むと、二階に明かりがある事を確認できた。

僕は少し安心し、目の前の扉を開けた。


だが、そこは血に染まった世界だった。


数え切れない程の死体が転がっている。

その中には小さな子供や、妊婦だと思われる遺体もあった。


僕は吐き気に襲われた。


ある少女は手足をもがれ、ある少年は内臓だと思われる物が出ていた。


一体誰がこんな事を。


「君だよ。」


少年のような声が聞こえた。

ここに僕以外の"人間"は居ないはずなのに。


「そうだね、君以外の"人間"は居ないね。」


まるで僕の心を読み取っているかのように話している。

だが、少年の言っている事は理解できなかった。


「君は覚えていないの?この死体たちを。」


こんな死体見た事も無い。

なのに覚えてないの?とか言われても…。


「…思い出せよ…お前の記憶を…。」


少年は怒っているのか、口調が変わった。

思い出せ、と言われても思い出せないから。


そう思っていた瞬間、いくつもの記憶が蘇った。


学校ではいじめに遭い、いつも独りぼっちだった。

何度も死にたいと思い、リストカットを続けた。

心配した親は僕を精神科へと連れて行った。

だが、意味も無く、ただ狂っていくだけだった。

教師までも僕を心配してきた。

それでも僕はもっと狂っていった。


ある日、僕は何処から手に入れたか分からない鋭いナイフとアサルトライフルを持っていた。

まるで、戦場に向かう兵隊のように。

僕は真夜中に独り、外へ走り出した。


そして何十人もの人間を殺した。

銃のトリガーを引く瞬間、謎の快感を覚えた。

そして、僕は一つ分かった事があった。


【人間は死ぬと綺麗な花びらを散らせる】


僕はそれが見たくて、何度も何度もトリガーを引いた。

誰だろうが、関係ない。


ある子供は僕に「やめて、殺さないで。」と縋ってきた。

泣きながら言ってくるものだから、興奮が抑えられなかった。

僕は「分かった。」と笑顔で囁き、子供の手足を引きちぎった。


あるクラスメイトは僕に泣きながら頼みこんできた。

だが、こいつは僕をいじめた張本人だ。


「人間の中身ってさ、どんなのか知ってる?」


そいつは怯えた様子で僕を見た。

その表情はもっと僕を狂わせるっていうのに。


そいつの胸部にナイフを突き刺し、ゆっくり下に引っ張った。

すると、中身が見える状態になった。

こんな風になってるのが分かったから、もうこいつは用無しだ。

腸を引っ張り出し、首を絞め息の根を止めた。


そして最後には僕の狂った笑い声しか聞こえない程になっていた。


全てが終わったかのように、僕は屋上へ駆け上がり、そのまま飛び降りた。


「狂った死神様はこれが一番だろ?」


そしてこの世に別れを告げた。




全てを思い出してしまった。


僕は自分自身が怖くなった。


「全部思い出しただろ?」


声の主は僕の目の前に立っていた。


僕が殺した少年。


「お前が俺達を殺したんだ!」


突然僕に向かって襲いかかってきた。

避けられない、いや、避けてはいけない気がした。


そして、狂気の死神は消えて居なくなった。

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