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ミミナリ  作者: 三宝すずめ
1話 休間隔
7/88

幕間

彼の独白――



「おかえりなさい」


 その言葉に戸惑ったことを覚えている。


「あれ、なんでそんな顔をしてるの?」


「……あ」


「ご飯、できてるよ」


 にこりと笑みを浮かべる彼女。


 温かい料理の香りがした。こんな存在ものが、あったのか……


 戸惑いながらも、俺の次の言葉を待ってくれる。


「……ただいま」


 何を話したらよいか、迷いながらもようやく絞り出した。


 こうして人と話すのはいつ振りか。


「はい、おかえりなさい」


 先程よりも更に笑顔を向けてくれた彼女。


 俺に、こんな笑顔を向けてくれる人間はいなかった。


 こんなに温かいものがあったのか……




 これが自分の元を離れることは、、、考えられない。


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