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「試験

そいて試験当日。


今日の試験に合格すれば、一週間後の新学期から編入、または入学という手順だ。




「…その、ユウキとやらは一緒に行かないのか?」


「お姫様が一緒に行きたがってね。ほら、気を利かせたってやつよ」


「…あぁ、そうなのか」



現在桜とセイがいるのは馬車の中。


王家の馬車ではあるが、普通のものと比べて派手ではない。


所謂お忍び用という、一部の人にしかわからないものだ。



優希とお姫様(ティアナ)が乗っているのは本物の王家の馬車。


堂々とスペサルテイン王家の紋章が刻まれている。



因みに、別の馬車に乗っているのは、王妃がティアナとセイが同じ馬車に乗るのをいやがったからと言うのもある。







「では、実技試験を始めます。と言ってもそんなに難しいものではありません。あちらの的に魔法を一つ放って破壊してください。」



緑髪のきれいな女試験管、クレース先生は30mほど先にある的を指した。


大体50cmほどの大きさだろうか。



二人は短縮詠唱で中級魔法を難なく放った。






「では、筆記試験です。1教科40分、間に10分休憩を挟んで基本の数学、歴史、戦闘学の3つと編入試験用の魔法理論学、古語、魔法史の計6つを、行います。それではまず、数学はじめ」





数学はそんなに発達していないので、大体中学生レベルの問題なので難なくクリア。


歴史、魔法史は読書が趣味の二人には問題なし。


古語は日本語によく似ているので(所謂、漢字が使われているので)桜にとって問題なし。セイは桜に教えてもらった。



桜にとって、魔法理論学と戦闘学の勉強だけ。もともと頭のいい桜にはそんなに難しいものではなかった。



因みに、優希は桜に教えてもらった上、基本の3教科のみ、ティアナに至ってはお姫様なので、誰も落ちるとは思っていない。





5日後、合格発表当日




「新入生じゃなくてよかったわね」


「…あぁ、そうだな」



2人の視線の先には、合格発表が記されているであろう紙の前に群がる人の大群。


流石、国一番の学園。


人の量が半端じゃない。



「たしか、最低400人は通るのよね」


「…そうだったか?…興味ない」


「ふふ、そう」



2人は呑気にそんな話をしながら校舎の方に進む。


編入生と言うことで、学園長が直々に合否を教えてくれるらしい。


というか、担任の先生を紹介すると、言われているのでこれで、落ちていたらひどい嫌がらせだ。





「入ってもよいぞ」



セイがノックした扉の向こうから老人のしかし、よく通る声が聞こえてきた。



2人は頭を下げながら入室する。



「お初にお目にかかる…王子様?そしてサクラ君。わしがここの学園長をしているファントムじゃ、ま、気軽にファン学園長と呼んどくれ」



がはがはと笑うファントム。


笑っている様子などが、誰かに似ている。



「…王子は止めてくれ、俺はスペサルトを名乗るつもりはない。…俺はセイドリック・リュースだ。此処に入れば、もう、王宮に戻るつもりもはない」



桜樹はそのことを全く聞いていなかった。


しかし、ふふ、と微笑むだけで特に反応を示さなかった。



「がはは、そうかそうか、まあ、それがよいじゃろう。特に止めるつもりもないわ」



ファントムは、うんうんと、大きくうなずいた。


彼は元々セイを王子扱いするつもりはないのだろう。


特に気にしている風でもなかった。



「さて、身分を捨てるというならばSクラスへ入るのはまずいじゃろう。となると、特待生の扱いはできないがよいのかな?」



セイは頷こうとして止める。


セイの視線は桜へと向かった。



「まず、私たち特待生の権利を持ってたのね」


「そうじゃったな、説明するのを忘れておったわ。君たちが受けた試験、学年末試験よりかなりレベルが高いものじゃ。科目数が少ないことをふまえても、君たちが取った点数は去年の特待生よりも、遙かに高い点数を取っておる。君達が望むなら特待生になれなくはない…が」


「セイが特待生になるのは得策ではなくて、私だけが特待生になるとクラスが別になるってことね」


「がはは、そういうことじゃ」



桜はふふ、と笑って一つ頷いた。



「なら、特待生じゃなくていいわ。私のギルドランクなら授業料減額できるし、払うことも出来るでしょう」


「ま、そうじゃな。しかしセイドリック君のランクはC授業減額の範囲内じゃぞ。国王が負担んじゃろうが、王宮を出るつもりなら金銭的な貸しを作らんほうが良いと思んじゃなあ」


「確かに私もそう思うけれど、そのうち返すわよ。それに、セイならギルドランクをす直ぐに上げられる、ね?セイ」


「…ああ、ギルドランクが上がれば返すことも難しくはない」



コクリと頷くセイを見て桜はもまたひとつ、笑みをこぼした。



「…まあ、そうじゃな。君らなら何とかするじゃろうて、ならばクラスはAじゃ。制服は…これを着なさい」



そう言ってファントムは紙袋を一つずつ桜とセイに渡した。



セイの方には白い学ラン。黒いボタンに胸元には黒い糸で学園の校章が縫われていた。


桜の方には黒いセーラー服。襟とスカート、袖口と胸元のリボンも白い、襟には黒いラインが日本入っている。



「襟に付いているバッジによって役職、特待生あとはSクラスの者の見分けがつくようになっておる。まあ、それはおいおい覚えてゆけば良いじゃろうてならば、君たちの担任を紹介する…。ローネル君!いるんじゃろう、入ってきてくれ!」



ファントムが声を張ると扉が開いた。


入ってきたのは糸目に青い髪をした青年だった。



「こんにちわぁ、ローレン・シールズっちゅもんや。よろしゅう」



ローレンは優しげな笑顔を浮かべた。






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