プロローグ
本当は漫画家になりたいけど、絵が壊滅的なので、仕方なくラノベっぽいものを書くことにした。
この世界は、どこか窮屈だ。
わたしには、とても小さく感じる。
今のこの、変わりばえのしない人生から抜け出したい。
立ち入り禁止の屋上で、空を見上げながら、少女はこの狭い世界に嫌気が差していた。
少女の名前は音無 アリア。日本人の母と、イタリア人の父を持つ半血の女子高生。金髪で碧眼と、父の遺伝子を色濃く受け継いでいる。
そんな彼女は、子供の頃から何をやっても完璧にこなした。運動では男子生徒を含んでも、学年で上位に位置し、学業でも常にトップ。おまけに、スタイルもルックスもモデル以上で、この近辺の学生で彼女の噂を知らない者はいないほどだ。ほぼ毎日、彼女に告白した男子生徒たちが枕を濡らしている。
なにをやっても人より頭一つ抜けてしまう彼女にとって、すべての物事はとても虚しかった。一度ためしに、告白してきたモデルをやっている大学生と付き合ってみたが、なにも感じなかった。いや、むしろ卑猥な目でしか自分を見てこない相手に、嫌悪感を抱いた。
何もかもがつまらない。いっそ、こんな世界は滅んでしまえばいいとさえ思っていた。
全てに投げやりになり、学校もサボるようになり、いつの間にか不良の烙印を押されていた。もちろん、学年トップはキープしているが。
そんな、世界に落胆した少女がなぜ屋上にいるのか……。
自殺するためであった。この世界で、やりたいことが何一つなくなった彼女は、無に帰すことを選んだ。
だから、アリアの住む街で一番高い高層ビルの屋上にいた。
どうせ死ぬなら、最後に空を感じて死にたい。
人生の指針をなくした少女の最後の願いだった。
かくして、その少女の願いは叶えられた。