45話 「精霊の隣で独善を語る」
ジュリアスのわびしげな背を送り出したあと、サレはソファに腰かけて一日の予定を作り上げるための思案に耽った。
しばらくすると、そんなサレのもとへ一人のギルド員が訪れる。
「サレー」
語尾が間延びした甘い声。
「ん?」
サレが声の方に視線を向けると――
「イリア?」
軽い足音と共に駆け寄ってくると少女の姿が映った。
銀緑の髪を揺らすイリアだ。
「どうした?」
サレは駆けよってきたイリアの身体を抱きとめると柔和な笑みで訊ねる。
イリアはサレの脚に身体全体で巻き付きながら、上目使いで顔を見上げ、顔に笑みを乗せて言った。
「マリアたちが買い物に行くから付き合ってだって」
――俺がわざわざ付き合う必要があるのだろうか。――そこはかとなく嫌な予感がする……!
サレの内心に浮かんだのはそんな言葉だった。
「買い物か……」
「ダメ?」
少し困った風な上目使いで再び言葉を紡ぐイリア。
――あえてイリアを寄越すあたり、なにやら周到さを感じずにはいられない……!
一、荷物持ち(パシリ)。
二、ボディガード(パシリ)。
三、どっちも(パシリ)。
さて、どれでしょう。
たとえそれがわかったところで、イリアを使われては断りようもない。
「よしよし、わかったよ、イリア。外に出る用意だけしてくるから、マリアたちにそう言っておいてくれる?」
「うんっ!」
イリアは嬉しそうに喜色を笑みに浮かべ、踵を返して走り去った。
「駄賃はイリアの笑顔ってことにしておくか」
眉尻を下げてだらしない笑みを浮かべながら、サレは一旦自室へと戻って行った。
◆◆◆
十分後。
「これはこれは……皆さんおそろいで……」
サレが身支度を整えて爛漫亭の外に出ると、そこにはギリウスを含めた大柄なギルドの男性陣が集められており、サレとしてはつい嘆息せずにはいられなかった。
「確かにパシられ順としてはギリウスが一番だもんな。俺まで呼ばれた以上、ギリウスもいなきゃおかしいとは思っていたさ……」
「我輩、近頃竜族としての威厳がよりいっそう消え失せていっている気がするのであるが……」
肩を落とし、うつむき、さらに竜尾まで力なく垂れさせながらギリウスが言う。
黒い鱗の竜がガックリと肩を落としている姿はもはや見慣れた光景と言ってもいい。
「ギリウス、ぬしはいつも肩と翼と尾を落としておるな。なにか悩みでもあるのかの?」
「自覚がないというのもなかなかに残酷なものであるよ、トウカ」
「カカッ、わらわは自覚しているがな」
「もっと残酷であるよ、それ……!!」
集められた男たちの間をすり抜けながらトウカがやってきて、笑顔でギリウスの背中を叩いていた。
「副長もきましたね。では、そろそろ行動に移りましょうか」
皆の中心にいたマリアが声をあげる。
彼女は片手を腰にあて、もう片方の手に小さな植物紙を握りしめていた。
「毟って――いえ、稼いできた資金がまあまあ溜まってきたところで、『そろそろ備品を買い集めてもいいのでは』というアリスの提案がありました」
「絶対わざと間違えてるよな、この女性陣」
「あらあら、わざとではありませんよお、副長?」
毟って、という響きについツッコミを入れたくなったサレが小さな批判を飛ばすが、マリアは相も変わらぬ笑みでそれに応えるだけだった。
「サレ、それ以上踏み込むと火傷するであるよ」
「大丈夫だ、ギリウス。俺とて命は惜しい……」
――切実に。
「そういうわけで、今日の内に備品を買い集めてしまいましょう。これから闘争がはじまるとなると、悠長に備品を買い集めておくことができなくなるかもしれませんからね。――荷物持ちの方々は順次呼ばれたらメモ係りについていくようにお願いします」
「お、おお……! この女性陣、すでに我輩たちが荷物持ちってことを隠そうともしていないのである……!!」
「淡い希望は早々に打ち破られるのが宿命だ……!」
そんな会話をサレとギリウスがしていると、集まった荷物持ち専用ギルド員が順々に呼ばれていき、捨てられた子犬のような目で残った同志たちを一瞥したあと、メモ係りの女性陣に連れ去られていった。
――胸にこみ上げてくる惜別の想いは、はたして気のせいなのだろうか……
いつ自分が呼ばれるのだろうかという不安に耐えながら、残された者たちは送り出されるパシリたちを見送る。
そうしてしばらく待っていると、最後にサレとギリウスがその場に残った。
「えーと、これで最後ですね。――副長と空戦班長は私たちと同行してくださります?」
――やべえ、一番引いてはいけないクジを引いたかもしれない。
サレは一度ギリウスに目配せをしたあと、マリアの片手に握られた十数枚に及ぶメモ紙を見て、己の不運を呪った。
「倒れる時は共にであるよ、サレ」
「ああ……せめて倒れずにいられることを祈っているよ……」
そうして最後に残ったサレとギリウスは、マリア、トウカ、イリアの班に連れられ、湖都ナイアスの街並みに消えて行った。
◆◆◆
「ジュリアス殿下が仕組まれた会合について、ですか? ――どうでしょうねえ」
マリアが思案気に呟いている。
ただの荷物持ちとして一日を過ごすのも味気ない気がして、どうせだからとサレが先ほどのジュリアスの提案についてマリアにも意見を求めていたところだった。
「どうなるかの予想はつきませんが、少なくともアリスを出席させないという点には賛成します」
「やっぱそうなるよね」
「ええ、わざわざアリスを送るメリットが私たちにはありませんから。王族主催の会合である以上、直接的な交渉は王族同士によってなされるでしょう。連帯ギルドの長はこの場合お飾りといっても過言ではありません。今回の闘争の趣向として、一応必要な程度、というところでしょうか」
「うん」
「仮に、その場でほかのギルドの情報を得るため、と理由づけをしたところで、アリスでは不都合なことが多いでしょう」
なんといっても、アリスでは視覚的な情報がほぼ得られないことになる。
仮に他のギルドの長たちが異族であったすれば、その異族的特徴を最も反映するのは容姿だ。必ずしも極端な容姿をしているわけではないが、おおよそ身体的特徴に異族性というものは表れる。
「アリスは術式燃料を感覚的に察する術を持っているようですけど、情報としての価値はあまり高くないですし」
「燃料が知れたところで、詳しい術式に関してまでは分からないからね」
「ええ。傾向として術式の作用の方向性は予想できるかもしれませんが、闘争においての曖昧な予想はかえって緊張感をそぐことにもつながるかもしれませんし」
「そうだなぁ。――やっぱり、俺が行こう」
「そうですね。アリスの次に凱旋する愚者の代表になれるのは副長ですし、迎撃力としても申し分はないでしょう。ただ――」
「ただ?」
マリアは鴨の羽色の髪を一度かきあげ、言葉を紡いだ。
「ジュリアス殿下のおっしゃるように、影武者的な存在であることを咎められる可能性もあります」
「でも俺たちは正体が完全に知られているわけでもないよね? 王族同士ならまだしも、出席ギルドの長にまでその論理が通用するとはかぎらないと思うけど」
「それもまた然りでしょう。ですが、噂に聞くテフラ王国の第三王女〈冷姫エルサ〉とその連帯ギルドである〈黄金樹林〉にかかってしまえば、そうともかぎりません。すでに黄金樹林のギルド長とは面識を持ってしまっているわけですし」
「……確かに」
「そうねえ…………〈マコト〉に頼んでみたほうがいいかもしれませんね」
「マコト?」
サレが目を丸めて言う。
ここでその名が出るのは予想していなかったという顔だ。
「人狐族の〈妖術〉の力を借りるのです。あの子なら副長に『化ける』くらい簡単にこなすでしょう」
「へえ、妖術か」
「ええ。妖術はあまり直接的な戦闘向きではありませんが、こういう場合は非常に有用です。幻惑系統の術式が多いですからね。視覚変化や聴覚操作など、感覚に訴えるものが多い術式系統なんですよ」
「便利そうだなぁ。魔術で代替できたりしないもんかね」
「ああいった系統の術式回路に魔力は向いていないでしょう。無理ではないでしょうけど、手間はかかると思いますよ? ちょっと妖術式の一例として簡単な術式を教えますから、頭の中でどうなるか計算してみてはいかがでしょう」
マリアは言うと、おもむろにサレの片手をとった。
すると、マリアが左手でサレの手を持ちつつ、右手の指でその掌に文字と幾何模様をなぞり描いていく。
サレはマリアがなぞる順番を見ながら、同時に頭の中で術式を編んでいった。
「あー……たしかにそうかもしれない。曲線的な回路が多いな」
「そうですね。魔力は直線的な術式回路においては他の術式燃料よりも速く正確に通りますが、曲線的な回路では速度も正確さも落ちますからね。曲線的回路ならば一本で済むところを、わざわざ直線的回路で迂回しなければならないとなると、術式自体も面倒で複雑なものになりますし」
言われたとおりだとサレは思った。
新しい術式の学術理論が生み出されればまた話は変わってくるのだろうが、少なくとも自分の知っている術式の理論体系では相応に面倒になる。
燃料の得意不得意の判断は、燃料が術式回路を通過する際の特徴の違いに概ね依存しており、簡単に言ってしまえば、魔力燃料は妖術的な効果を持つ術式回路に向いていなかった。
「それにしても、マリアは精霊術師なのによくそれだけ他の術式系について知っているね?」
サレの問いにマリアはいつもの微笑を浮かべ、答えた。
「知識は多いに越したことはありませんから。特に、私たちのように戦場に出ることが多い場合はなおさらです。敵の武器として現れるかもしれない術について知っておくことは重要でしょう? ――たとえ自分がその術式を扱えないとしても」
「痛いほどに正論だね」
参ったと言わんばかりにサレは嘆息し、一旦言葉を切った。
「我輩も話に加わりたいのであるが……あんまり話している余裕もないのである……!」
その傍らで、巨大な荷物の山を抱えていたギリウスが言った。
ギリウスは両腕に複数の紐付き麻袋をつり下げ、さらに両手の上に五段重ねの革袋を載せ、挙句の果てに尾にも似たような革袋を載せながらぎりぎりの状態で歩いていた。
「落としたらおしおきですよぉ?」
「ぐ、ぐぬう……! 鬼畜とはこのことであるなッ!」
「察するよ、ギリウス……」
「あら、副長にもこのあといっぱい載せてあげますからね? いっぱい、いーっぱいですからね?」
「察するであるよ、サレ」
「うん……」
一方のサレはまだ片手に革袋を一つ持っているだけで、ギリウスと比べるとだいぶ余裕がある状態だった。
しかし、すかさずマリアに処刑宣告をされ、おもわず身構えてしまう。
「あっ」
そんな中、不意にマリアの横について歩いていたイリアが声をあげていた。
さきほどまで辺りの商店を好奇の目で見まわしていたイリアの目は、今一点に集中していた。
「どうしたの? イリア」
「あそこ超気になる!」
イリアが指差した先には『錬金術師の家』と書かれた少し古びた木製の看板があった。
その看板のすぐ横に、意匠の凝ったカボチャ型のランプが吊り下げられた玄関扉があり、その扉窓からは不気味な緑色の光が漏れていた。
「ほー、いかにもと言った感じじゃな。どれ、入ってみるかの」
「いいの!?」
トウカが率先してその扉に手を掛ける。
「そうね、もしかしたら掘り出し物があるかもしれないし、構わないわよ。イリアも何か欲しいものがあったらいいなさい?」
「うん!」
――微笑ましいやり取りである。――荷物さえなければ。
ギリウスは胸中で言いながら、なおも荷物が増える可能性があることに戦慄を覚えた。
◆◆◆
『錬金術師の家』と銘打たれたその商店に足を踏み入れてすぐに、面々はあたり一帯におかれた不思議な色形状の道具類に圧倒された。
特に目立っていたのは透明の瓶に入れられた不思議な発光体の数々で、瓶の中では赤や青、緑などの光が燦然と輝いている。
「綺麗だな」
サレがおもわず口からそんな言葉を出した。
しかし、その道具の数々に興味津々なサレやトウカとは違って、マリアとイリアだけは別の反応を示していた。
「これは……」
マリアはそれだけを言って絶句する。
一方で、イリアは真っ先にそれらの光る瓶に近づき、手にとって瓶に耳を当てていた。
マリアの様子と、イリアの行動に首を傾げるサレたちが、訝しげに思って訊ねる。
「どうかしたの?」
「……いえ、少し――」
『あれ、お客さん?』
すると、商店の奥の方から女の声がして、皆がそちらに顔を向けた。
奥から出てきたのは、幅広の黒い魔女帽子と裾の長い黒のローブを身にまとった女だった。
それも、年端もいかぬ少女のような容姿だ。
「ああ、ちょっと気になって入ってみたんだ」
「そう。じゃ、欲しいものがあったら呼んでね」
客であるサレたちに対して大した興味を持った様子もなく、それだけを言って踵を返す少女。
「……これ、あなたが作ったの?」
ふと、去ろうとした店主の少女にマリアが声を掛けた。
マリアの片手には発光する瓶が握られている。
「そうだよ。作った、っていうほどたいそうなものじゃないけどね」
「でしょうね」
返答と同時、マリアが笑みを消して相槌を打った。
いつも浮かべている柔和な微笑は消え去り、どこか怒気のようなものが見え隠れしているようにさえ見えた。
「……ああ、君たち、もしかして僕と同じタイプの人?」
店主と思われる少女はマリアの声に反応して再び顔を向けると、すぐになにかに勘付いたように眉を上げてそう言った。
「いえ、どちらかといえばこの瓶の中の存在に近いでしょうね」
「あー……把握したよ。君たち〈精霊族〉か」
「――ええ」
「ふむ、なら君の『怒り』も理解できる」
「……なんの話?」
いまいち話がつかめないサレが訊ねた。
「君は精霊族じゃないんだね。……まあいいや、話がつかめないならその恐い人に聞きなよ。僕にとってはいちいち説明するのも面倒だ」
「……マリア?」
サレが少女の促しにしたがってマリアに訊ねる。
「……イリアが持っている瓶は――その瓶の光は――」
目を伏せ、マリアが答えた。
「――『精霊』が発光しているがゆえのものです。この瓶にはあらかじめ精霊術師によって願いがかけられた精霊が封入されているのです」
「……出たいって言ってる」
瓶を耳に当てていたイリアが唐突につぶやいた。
「そういうこと。僕が作った道具の中でも、最も簡素なものさ。精霊に発光するように願いをかけて、そのまま特殊な瓶に密封したもの。精霊眼を持つものにはすぐに原理が理解できるだろうね。精霊族ともなればなおさらさ。まあ――精霊の声まで聴ける人がいるとは思わなかったけど」
少女は言いながら、少しだけイリアに興味を持ったようにその視線を向けていた。
「でも、出しちゃだめだよ。僕にとってはそれが商品なんだ。出してあげたいなら、ちゃんと購入してからにしてくれないと」
「……」
サレはなんとなくマリアの怒りの源を察していた。
精霊族という精霊に近しい異族であるマリアにとっては、精霊が瓶に閉じ込められているという事態を即座に認めることができなかったのだろう。
「わかっています。少し、文化の違いに戸惑っただけです。不快な思いをなされたなら謝りましょう」
「礼儀正しいね。でも、べつに謝らなくてもいいよ。僕だって精霊眼を持つ者だから、君の怒りをまったく理解できないわけじゃない。ただ、価値観の違いがそこにあった。――『それだけ』さ」
「ええ、『それだけ』です。――イリア」
「……うん」
マリアがイリアに声をかけると、イリアは耳に当てていた瓶をもとあった場所へと戻した。
その顔には悲しみが見え隠れしていたが、サレたちの方を向いた時にはその悲しみは顔から消えうせていて、サレはそのイリアの表情の変化を見てすぐに――顔をしかめた。
――なんで、すぐにそんな顔ができる。
イリアはほかの皆にいらぬ心配をかけさせまいと、察したのだろう。
察し、そして、
――『徹した』。
年端もいかぬ少女が、我がままをいってもいい年齢の少女が、おそらく自らの欲求を、大人顔負けの自制心でもって押さえつけた。
少しくらいその気持ちの変遷が顔にでてもいいのに、それすら顔に出さずに。
恐るべき処世の術だ。
――だけど。
サレは胸中に何かがひっかかったのに気付いて、つい、とっさに言葉を放っていた。
「――その瓶、いくら?」
踵を返して店の奥へと去ろうとしていた店主の少女に向かって、紡いだ言葉。
「――副長、気遣いは……」
「俺が好きでやってるんだ。べつにマリアの許しは必要ないだろう?」
「ですが……」
「テフラ銅貨三枚」
「よし、買った」
サレは店主の返答を聞くや否や、服のポケットから銅貨を三枚取り出して店主に手渡すと、先ほどイリアが耳に当てていた瓶を手に取り、
「ほら、イリア」
「えっ、でも……」
「遠慮するな。いいか、我がままは子供の特権だ。まあ、俺は今でも我がまま言うけどな!」
だから、いわば、
「これは俺の我がままでもある。俺が買ってやりたいと思ったから、買っただけだ。――いやぁ、独善的なことをすると清々しくなるな!! やはり我が本質はそこにあると言えよう!」
たとえこれでイリアが余計に気を遣ったとしても、もはやどうでもいい。
善意の押しつけ、上等だ。
――俺が気持ちよければ、それでいいのだ。
サレは押しつけるようにイリアの両手に瓶を握らせると、一度だけイリアの頭を撫でてから店を出た。
「サレはイリアの百倍は不器用じゃなぁ……」
「同意であるな。ぎこちなさすぎてこっちが恥ずかしくなるのであるよ。そのうえ、買ったあとのことはどうでもいいときたわけである。確かに我がままであるな」
トウカとギリウスが苦笑しつつ、サレに続いて店を出て行った。
「マリア……」
「はあ……本当に――副長もどうしようもない方ですね。アリスが副長を『実はだいぶ馬鹿』だというのもわかります」
「……うん。でも、私は――嬉しいよ」
「なら、ちゃんとお礼を言っておきなさい」
「うん!」
イリアがサレを追いかけるように店の扉を開け、最後にマリアがその場をあとにしようと歩を進めた。
そこで、ふとほかの瓶に目をくれ、ある事実に気付く。
精霊が封入された瓶の棚には『テフラ銀貨一枚』という値札が貼ってあった。
ハッとしてマリアが店の奥を振り返ると、
「僕とて血も涙もないわけじゃない。――でも、今の値下げはただのきまぐれさ。君が気にすることじゃない。さっきの彼の言葉を借りるなら、これも僕の我がままさ」
「では、次に来た時もあなたのきまぐれと我がままに期待するとしましょう」
「はは、まさか次があるとは予想していなかった。考えておくよ」
そういって店主の少女は店の奥に消えていった。