あーかい部! 57話 肩こり
ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立池図女学院。
そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。
3度の飯より官能小説!池図女学院1年、赤井ひいろ!
趣味はケータイ小説、特筆事項特になし!
同じく1年、青野あさぎ!
面白そうだからなんとなく加入!同じく1年、黄山きはだ!
独り身万歳!自由を謳歌!養護教諭2年生(?)、白久澄河!
そんなうら若き乙女の干物4人は、今日も活動実績を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。
池図女学院部室棟、あーかい部部室。
「…………、よし!終わった〜!」
部室で1人、お仕事に一段落つけた白ちゃんは大きく伸びをすると、
バキボキィ……ッ!
「う"っ……。」
肩が……凝った。
「……で、私は今こうして白ちゃん先生の肩を掘削させられてるわけですね。」
「そういうことよあさぎちゃん……あ、そこもっと強く。」
「まだ強くするんですか!?」
椅子に座る白ちゃんの肩に、全体重をかけた肘を突き立ててもこの有様である。
「あさぎちゃん、軽いのね〜。それに若くて羨ましいわ。」
「ですね。」
「ちょっとは謙遜しなさい。」
「すみません、ちょっと休憩……。」
あさぎは肩で息をするほど疲弊していた。
「はいはい、ありがとね♪」
「白ちゃん先生、エアーズロックでも背負ってるんですか……。」
「それで世界遺産になれるならなってみたいわね。」
「白ちゃん先生がエアーズロックに適うのなんて、年季くうぁい
あさぎのほっぺが左右に目いっぱい引っ張られた。
「お返しにお口のマッサージしてあげましょうか♪」
「いいうぇふ……。」
「そ。」
「いったぁ……。」
あさぎのほっぺが開放された。
「いやぁ、あさぎちゃんのほっぺってほんとによく伸びるのねぇ……!?」
「若いので
あさぎは再びほっぺめがけて伸びてきた白ちゃんの両手を飛び退いて避けた。
「あら残念……。」
「白ちゃん先生ほっぺ伸ばしたいだけでしょ!?」
「あらバレちゃった。」
「まったく……。」
「でもほんと羨ましいわねぇ。ねえねえ、触るだけなら
「久々にポリスメンします?」
「すみませんでした。」
「まったく……。」
「くっ…….せめて、手から若さを吸い取ってやろうと思ったのに……!」
「妖怪みたいなことしないでください。」
「はっ!?もしかして私のお肌が水菓子のように劣化していくのも妖怪のせい……!?」
「全部妖怪のせいにしないでください。」
「そうよね。他責は良くないわよね……。じゃあその身体ちょうだい?」
「そのまま一生エアーズロック背負っててください。」
「え〜〜やだやだやだやだ!」
「一体どんな生活習慣してたら肩にエアーズロック生えてくるんですか……。」
「安心して?あと10年後にはあさぎちゃんにも生えてくるから。」
「アンダーヘアで悩む思春期の子どもじゃないんですよ?」
「そうねぇ……じゃあそろそろ再開しましょっか?」
「またですかぁ……はぁ。」
あさぎはしぶしぶ、白ちゃんの肩の掘削を再開した。
「あぁぁぁ……痛くも痒くもないわぁ。」
「戦ってるんですか?」
「私の肩のエアーズロックとね。」
「ドロップキックでもすれば倒せますかね?」
「やめろやめろ。」
「でもこのまま普通にマッサージしても傷一つつけられませんよ?」
「傷はつけなくていいのよ。」
「バツもついてないですもんね。」
「バツはつきゃ良いってもんじゃないのよ。」
「白ちゃん先生一回脱いでもらってもいいですか?」
「やだ///あさぎちゃんもそういうお年頃?」
「中に鉄板仕込んでないか確認するだけです。」
「仕込んでないわよ、あと流さないで。」
「何も仕込んでないならこういうのはひいろに頼んだ方がいいですよ……。」
「ひいろちゃんマッサージ得意なの?」
「たまに応接室でおばさんにやってあげてるみたいです。」
「教頭先生にねぇ……?」
「じゃあ私はこれで
「やだやだやだやだこのままエアーズロック背負って帰るのやだ〜〜!」
「駄々こねないでくださいよ。そのエアーズロックは、私には荷が重過ぎます。」
「じゃあグーでいってもいいから!……ね!?」
「…………はぁ。もうちょっとだけですよ?」
「お願いね♪」
「…………スゥ。」
あさぎは目を瞑って大きく息を吸い込み、
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラ!」
ボゴゴゴゴゴゴゴ……!
鈍い打撃音を奏で、白ちゃんの肩から背中に拳を連続で叩き込んだ。
「……どうですか!」
「ああああ、全然効かない、もっととと。」
白ちゃんのエアーズロックはそれをものともしません。
「こ、こんなの……岩通り越してダイヤモンドじゃないですか……!?」
「ほらほらもっともっと〜。」
あさぎは息を整えて再び拳を叩き込みます。
「……!、オラオラオラオラオラオラオラオラオラ!」
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄。」
それでも白ちゃんのダイヤモンドは砕けません。
「……ぐはっ、」
白ちゃんの背中に拳を弾かれ、よろけたあさぎが後ろの壁まで後退した。
「こ、こんなの……ダメだ、圧倒的過ぎる……!?」
「頑張ってあさぎちゃん!もうちょっとよ、本気でいってもいいから!」
「じゃあ……全力でいきますよ!?」
再びあさぎは目を瞑って息を整えると、
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラ!」
「無駄無駄無駄無駄……お?」
「……オラオラオラ助平不健康サボり魔下っ端セクハラ女子力最っ!底ッ!!へぇぇええ
「おい。」
あさぎがとどめの一撃を入れるよりも速く、白ちゃんがあさぎのほっぺを左右に目いっぱい引っ張った。
「すうぃうぁへん……。」
この日、白ちゃんはちょっぴりほぐれたエアーズロックと一緒に帰宅した……。
あーかい部!(4)
あさぎ:投稿完了♪
白ちゃん:ありがとう……といっていいのかしら
きはだ:おやおやぁ?2人っきりで何してたのかなぁ?
ひいろ:何かあったのか?
あさぎ:白ちゃん先生がエアーズロック背負ってた話
きはだ:わぁい面白そぉ〜♪
きはだ:草草草草草草草草ァ!
白ちゃん:きはだちゃんのほっぺはどこまで伸びるかしら?
きはだ:ごめんなしゃい……
ひいろ:マッサージも技量がいるからなあ
あさぎ:あのエアーズロックを技量でどうにかできる気がしないんだけど
ひいろ:明日マッサージしてやろう!
あさぎ:助かるよ
白ちゃん:やったぁ♪
ひいろ:あさぎの肩が溶けてそんなに嬉しいのか?
白ちゃん:え
きはだ:草ァ!
白ちゃん:いやいや、ここはどう見ても私の肩をマッサージする流れじゃないの!?
ひいろ:だからあさぎを育てるんだろう?
白ちゃん:ひいろちゃんが直接やってくれればいいじゃない!?
ひいろ:それだといつまでも後進が育たないでしょう?
きはだ:おや?口調が
白ちゃん:変換ミスしてるわよひいろちゃん
ひいろ:というわけで明日の部活中はあさぎちゃんを借りるわね?応接室まで来てちょうだい♪
白ちゃん:まさか……
ひいろ:因みにひいちゃんは私専用だからね♪白久先生?
きはだ:教頭先生キタァァァアアア!
白ちゃん:嘘だ……いつから……
ひいろ:『何かあったのか?』の所からよ♪
きはだ:擬態完璧過ぎて草ァ!
ひいろ:1番付き合いが長いのは私だもの、当然よ♪
あさぎ:このトークルーム、もう誰が入れ替わってるかわからないな……