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魔法の木琴

死の谷の奥、かび臭い風を抜けてたどり着いたのは、黒曜石でできた不気味な建物──ゼベル・ザ・ネクロマンサーの館だった。とにかくデカくて、とにかく黒い。なぜか入口に「ようこそ♡」と書かれた木の札がぶら下がっている。


「え? なにこれ、ファンシー要素?」


「どこかで買ってきたのかな……」

ミラが玄関前で首をかしげると、突然そのドアが自動で開いた。


\キィィ……/


「ようこそ、オレのダンジョンへ……」

中から現れたのは、ローブをまとった痩せぎすの男。肌は蒼白、目の下には無限のクマ。

そう、彼こそが死の谷の主、ゼベル・ザ・ネクロマンサーである。


「この世界の闇と契約し、すべての命あるものを腐敗へと導く存在……だが、今は“音楽療法”にハマっている」


「え?」


ゼベルの背後で、“ぽよよん♪”という不思議な音が響く。

そこには、まるでピアノと木琴が合体したような形の奇妙な楽器があった。名を――魔法の木琴。


「この音を聴け……!」


ゼベルが演奏を始めると、空気が震え、壁が一部めくれて中からゾンビが「イエェェェ……」と起き上がってきた。


「うわあ、ミュージカル・ゾンビかよ!」

リュカが剣を抜くが、ゾンビはステップを踏んで踊っている。


「♪腐っても~人間~、それでも~恋した~い~♪」


「なにこの歌詞!?」


ピルポは爆笑しながらメモ帳を取り出す。「歌詞いいなぁ、今度使えるなこれ……!」


だが、そのとき──尻がポンと手(?)を打った。


「この曲は“命の逆流”の呪いじゃ! 聴きすぎると魂が抜けるぞ!」


「おおっと危ない!」


ミラは咄嗟にピルポの耳をつまみ上げた。「ほら集中して、ホビット!」


「いてて! 耳はやめて!」


ゼベルは演奏を続けながら、不気味に微笑んだ。


「君たちは、真オレタスの破片を探しているのだろう……ならば、演奏が終わるまでに私を止めてみるがいい。そうすれば、破片のありかを教えてやろう……フフフ」


「演奏時間は?」


「約36分」


「長っ!!」


だが、ここで尻が前へ出た。


「任せよ……このために持ってきた“無敵のスリッパ”、今こそ試す時!」


「え、投げるとか?」


「いや、履く! 踊る! そしてリズムを乱すッ!」


「いや、お前、尻だろ。えっ、スリッパを尻肉で挟んでいるっ!器用なやつ!」


謎の舞踏バトルが幕を開ける予感――

混沌の夜は、これからさらに騒がしくなる!


――つづく!


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