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魔法生物"尻"

「おい、ここが“死の谷”かよ……空気がもう“死んでる”感じするぜ」


金髪戦士リュカが鼻をつまみながら呟いた。草木は腐り、風は陰気、サボテンでさえ枯れて笑っていない(前回の歌うサボテンと比較)。


「本当にここに“真オレタスの破片”があるのかしら」

ダークエフルフのミラはあきれ顔で周囲を見渡した。さっきから足元で何かがぷるぷる震えている。


「ぴよんっ!」


出た。

魔法生物“尻”、満を持しての再登場である。


「よくぞ来たな、迷宮マスターたちよ! この地には“ゼベル・ザ・ネクロマンサー”という邪悪なバンパイアおじさんが住んでいてな、君たちのような若者の内臓を“ジャーキー”にして売っているという噂じゃ!」


ピルポ(ホビット)「ひえぇ! そんなの“マジで死ぬやつ”だよ!?」


尻「死の谷ですからな! ワッハッハ!」


「お前さ……前回からちょっとキャラ変わってない?」ミラが眉をひそめる。「つか、そもそも前回出てたっけ?読み返すのめんどいから調べないけどさ」


「うむ。出ていなかったら、ごめんなさい。今作から“案内役+ギャグ回し”の契約を結ばされたのじゃ。報酬は“無敵のスリッパ”と聞いておる」


「ちょ、それ本当に無敵なの!?」

「攻撃力はゼロ、防御力は無限。装備すると裸足になるが心は鉄壁じゃ」


一行は全員沈黙した。


──そのとき、岩の陰から何やら毛むくじゃらの影がぬっと現れた。


「……そこの“尻”! 我はニワトリ人間、死の谷の副番人! 勝手にガイドを名乗るなッ!」


羽根と爪とヒト語を兼ね備えた、半鳥・半人の呪われし者が現れた。

頭はニワトリ、胴体はマッチョ。ベルトに卵が吊るしてある。


「コケーッ! この谷は今、“ゾンビ・ホリデーキャンペーン中”! 観光目的の侵入者には地獄のフルコースをプレゼントだコケェッ!」


「ちょっと、何それ行きたくない!」

「“フルコース”ってゾンビの“どこ”を食わされるのよ!」ミラが叫んだ。


しかし尻は落ち着いていた。


「大丈夫、あれは“死の谷”のマスコットじゃ。あの卵を投げれば逃げる」


「卵って、これ?」ピルポが拾った卵をそっと投げる。


「うわあああ! それ俺の非常食ーっ!」

ニワトリ人間は泣きながら去っていった。


「……なんだ、この谷……」リュカが額を押さえる。


尻「まあまあまあ。これからもっとヤバい“ゼベル様”の館に行くんじゃから、心を落ち着けて、気合いを入れなされ!」


「気合いってどう入れればいいの?」

「もちろん“しり文字”で書くのじゃ。“ガンバレ”ってな……」


「おまえが一番ヤバいよ」

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