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第一章 第1話 ある依頼から

こんにちは。今回が初投稿となります。

不手際もあるかと思いますが、温かい目で見てくだされば幸いです。


キャラクター説明

レスリー 一人称

ノア   レスリーと双子

シアラ  レスリー、ノアの姉


ある男  謎の男

これは1人の少女が作った世界のお話である。


〜第一章〜 


「新薬の実験に協力してほしいのだが。」


ここは何でも屋。魔法使い2人と能力者1人の3人で経営する何でも屋だ。有名な店でもなく、無名な店でもない。この業界ではそこそこ名のしれた店だ。建物は1階が店で、2階は私たち家族の家になっている。

私たちは依頼をこなし、お金をもらい生活している。だいたいは「子どもの面倒を見てほしい。」だったり、「屋根の修理」だったり、時たま「恋愛相談」、「家族についての相談」があったりするだけだ。でも今日の依頼は違った。

いつも街の人達が利用する、そんな店に白衣とフード、そして仮面で顔を隠した知らない男が来店したと思ったら、「新薬の被検体になってほしい。」と怪しい依頼をしてきたのだ。


怪しい男は椅子に座り、机を挟んでこちらをみている。鳥のような仮面で顔は見えないのになぜか目線が合う。男の身長は高く、ガタイもそれなりによく見える。そこそこの身分もありそうだ。それなのに、なぜそんな男が私たちのような一般の、それも何でも屋に依頼をしてきたのか。見た目も、経緯も、以来内容も怪しい部分しか無かった。私は隣に座っている“ノア”と顔を見合わせ、「どうするの?」と目で伝えてみる。ノアはまるでその意を受け取ったかのように、眉と下まぶたを動かし、顔を軽くしかめてみせた。男は相変わらずこちらをじっと見つめて動かない。そんな気まずい時間が体感2分ほど流れた時、姉の“シアラ”が口を開いた。


「お引き取り願います。」


そう一言、堂々とした声で言った。

紫色の瞳が男をじっと見つめている。

表情は真顔のままで、目の前の男に恐怖している様子もない。ただ、声のトーンが相手を威圧するような声だった。


すると男が首を傾げて言った。

「そうですか、しかしこちらも引くわけにはいかない事情があってですね。お話だけでも詳しく聞いていただけませんか?」


先程までとは違い、お願いをする低い姿勢でそう言った。男の見た目から想像できる性格とは違っていて、もっと高圧的で威圧的だと思っていただけに、腰を低くしてお願いする男を見て驚いてしまった。ここまで言われたら話だけでも聞いてあげないと可哀想だと思い、私も口を開く。

「お姉ちゃん、話だけでも聞いてあげよう。」

私は姉の“シアラ”にお願いした。威圧的に見える男が低姿勢な態度でお願いするのを見てギャップを感じてしまったせいかもしれない。

もしくは、私の勘が彼の話を聞くべきだと思ったのかもしれない。ただ、私は彼が気になった。


すると先程まで無表情だった姉が顔をしかめてこちらを見ている。

ノアは対照的に俯いて顎に手を置き、なにか考えているようだった。


「“レスリー”」

姉が私を呼ぶ。その声のトーンは普段とは違い低い、怒っている時のトーンだ。

怒られる…と思ったのも束の間、“ノアが”口を開いた。


「いいじゃん。話聞くだけだろ?」


今度はノアの目を見て、顔をしかめている。

「正気か?」とでも言いたげそうだ。

少しの間顔をしかめると、姉はふーっとため息をついて、男の方に振り返った。


「分かりました。お話だけなら。」


そう言うと男はニコッと気持ち悪い笑みを浮かべて話し始めた。

「新薬の実験に協力してほしい。本当にそれだけですよ。依頼内容は新薬を何でも屋さんに接種していただき、その経過観察です。期間は…そうですね1週間ほどでしょうか。」

そこまで言うとシアラが口を挟んだ。

「依頼内容は分かりました。ですが、断らせていただきます。」

姉は断固拒否の意志を男に見せた。

男は姉に問う。

「理由を聞かせていただいてもいいですか」

姉は眉間にしわを寄せながら言った。


「安全性が保証できない。それに、新薬の被検体なら国を通し、民間人に大々的に募集をかけるはずです。それなのにあなたは個人的に、それに民間の小さな企業に依頼した。それは国にバレたくないか、安全性を保障できない薬かの二択です。」


「ではまず1つ目から。安全性は保証します。小動物はもちろん、人間にも一度投与しました。ですので、危険性は極めて低いかと。

そして2つ目、国を通さないのは私が国と関わりを持つわけにはいかないからです。少し事情がありまして。」


話を聞いた後も姉は眉間にしわを寄せたままだ

依頼は拒否されるだろう。でも、なぜか。私は彼を信用したかった。彼の依頼を受けろと私の勘が言っていた。勘は信じるべきだと私は思う。勘は根拠のないものだが、それは私が心からやりたいことのはずだから。直感的にこれが正しい行いだと思っていることのはずだから。

だから私は。

「私は引き受けるよ。」

そう言った。姉もノアも、私を見ている。

男も私を見ている。

全員驚いた顔で見ている。


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