また、会えると信じて
「・・・行っちまったな」
そう独り言ちるスキンヘッド。
「ぐすっ、どうしてお兄ちゃん。これから皆で一緒に暮らせると思ったのに・・・」
鼻をすするソアラ。その肩を抱くゲラルト。
「ソアラ。彼にも、彼なりの考えがあるんだろう。せめて、一言でもお礼を言わせてほしかったが・・・」
人生経験豊富で、苦労も皆より多く重ねてきたゲラルトは、彼がどうして行ってしまったのか、分かるような気がした。
「だがな・・・それは勘違いってもんだ」
どうも彼は早とちりや勘違いをすることが多い。ゲラルトは長いようで短かった、彼との暮らしを思い返していた。
ロリ貴族ことリリーネは、黙って出て行かれたことで鼻息荒く怒っていたが、だんだんと落ち着き、疑問を口にした。
「でも、アイツなんで満面の笑みで手なんか振ってたんだろ。なんか泣いてたし」
スキンヘッドは、タバコに火を付け、煙をフゥーと吐き出して言った。
「泣くほど嬉しかったんだろうよ。お前らが来てくれてな。だから、アイツにしてみたらアンタらからのお礼は、もう十分受け取ったさ」
シャーロットは、先ほど再会した最愛の両親と共に、馬車の消えていった地平線を――いつまでもいつまでも見つめていた。
やがて、小さな決意を込めて、ひと言。
「これで終わりじゃない。きっと、きっと、また、会えるわ!」
そう言って、笑った。
それは、まるで太陽のような。
満開の、笑顔だった―――。
最後に笑ってくれたシャーロットのように、
あなたの心にも、ほんのひととき、幸せが灯りますように。
この物語の最初の一文を書いたのは、もう数年前のことです。
途中で執筆を止めた理由は、正直いろいろありすぎて語りきれません。
現実では本当にいろんなことがあって、創作に向き合えない日々も長く続きました。
それでも、また物語と向き合おうと思えたのは、
この世界の登場人物たちが、どこかでまだ生きているような気がしていたからです。
そして今日、ついに完結しました。
こうして“終わり”を迎えられたことが、ただただ感無量です。
もしここまで読んでくださった方がいるのなら――
本当に、本当に、ありがとうございます。
……これで、この物語はいったん終わりです。たぶん。
でも……「また会える気がする」って、シャーロットも言ってましたしね。笑
設定は明かしていませんが、これは、読者様一人一人の物語です。
もしまた彼らに会いたくなったら、星マークの評価を、残していってください。
それが、次の旅のはじまりになるかもしれません。
最後に――誰かに読まれた瞬間、物語はほんとうに“あったこと”になる。
そう信じて書いてきました。
読んでくれて、ありがとうございました。
※また、会える日が来るかも知れません。ブックマークはそのままで!




