酔っ払い
一文無しの俺にスキンヘッドは馬車代までくれた。
彼がなんで俺にそこまで良くしてくれるのかさっぱりわからなかったが、本当に彼は、いいハゲだった。教えてもらった時刻に馬車に乗りこもうとすると・・・
「おい!おーい!!待て!行かないでくれ!」
遠くのほうからゲラルトの声。しかもその後ろには・・・
「お兄ちゃん!お礼も言わせずに行くなんて酷いよ!帰ってきてよ!」
「あなた私からのお礼をまだ受け取ってないじゃない!戻ってきて!」
「ちょっとアンタ、言い出しっぺのアンタが真っ先に出ていくってどういうことよ!一緒に家族になってくれるんじゃなかったの!?」
ゲラルト、ソアラ、シャーロットとその両親、リリーネ。うわぁ勢ぞろいでこっちに走ってくる。ちょっと待てその後ろに見えるハゲ頭は・・・
「だからこりゃ剃ってんだ」
なんで思ってることが以心伝心なんだよそこまで仲良くなってたのかよ。てゆーか、やりやがったなあの野郎!馬車代を出すとか言ったときに怪しむべきだった!
「おい!馬車を早く出してくれ!追いつかれる!!」
「へ?追われてるんで?」
「その通りだ!追いつかれたらきっともう取り返しがつかないから早く!!」
「・・・アイアイサー!!」
追いつかれる直前で馬車は砂煙を上げて、出発する。ノリのいい馬車業者で助かった。
そう、追いつかれてしまえば、俺はもうきっと自分を抑えることができない。
なんせ―――
酔っ払いだからな!
次回、最終話




