変態貴族
その地獄のような声は、店内に良く通った。
皆、一斉にそちらを注目する。
見ると、アウトローリーダーが血を吐きながら目を爛々と輝かせて此方を凝視しているではないか。俺はセクハラにキレたソアラが出した声だと思ったので、どう言い訳をするか頭をフル回転させたが杞憂だったようだ。よかったよかった。
「おめでたいヤツめ、その娘の運命は何も変わらん。何もな。とある有力貴族から我々への依頼なのさ。町娘の中で最も美しいと評判の、ソアラという娘を引き渡せと。あの変態趣味の貴族に捕まったが最後、四肢を切り落とし、生きた達磨にされるそうだ」
「えっ、はぃ・・・?」
ダルマ?何を言ってるんだこの男は。
「ククク、何処へ逃げても、決して逃げ切れずに捕まる。変態貴族に蹂躙され、拷問され、最後には殺される運命だ」
・・・なにそれ。全然見たくない。そんな物を柱の陰から覗いたら全力でインポになる自信がある。
傍らを見ると、ソアラちゃんは口が半開きで、ポカンとしている。
ほどなくしてようやく話の内容に理解が追いついたのか、ガクガクと膝を震わせ顔面が蒼白になる。
「い、嫌。いやです。そんなの。そ、そん、な死に方、いや・・・」
膝から崩れ落ち、女の子座りのまま茫然としている。
店内の客も絶句したまま何も言わない。
どうやら貴族、とやらは相当な権力を持っているみたいだ。
こんな突拍子も無い、理不尽な話を皆に信じさせる程には。
アウトローリーダーは今度は俺を見て話を続けようとするが、ゼェゼェと息が荒くなってきている。
「・・・大した腕前だな。残念だが貴様が逃げるなら、追う者はいないだろう。蛇凶は金にならんことはせん」
そこでアウトローリーダーは勢いよく咳き込み、大量に吐血する。
即死は防いだものの、傷は深いのだろう。
「ガハッ・・・。だが娘は助からん。貴様も無駄な、努力、だったな。
とっとと何処へでも・・・グフッ・・・いく・・・が・・・い・・・い 」
最後に負け惜しみを言って、アウトローリーダーのカッと見開いた目が光を失う。
ソアラは女の子座りのまましばし泣きじゃくっていたが、やがて床に突っ伏して号泣し始めた。
「グスッ、うっ、ううっ嫌だ、嫌だ」
泣き続けるソアラに、しかし誰も声を掛けることが出来ない。
たくさんの人がいるとはとても思えない静まり返った店内には、ただソアラのえずく声だけが、いつまでも響いていた。
いやあああああああ!!!
誰か評価してくれてるやん!!
始めてポイント入った!!!
誰も読んでないのかと思ってもう投稿を辞めてしまおうかと・・・
誰かしらんけどありがとーーーー!!!
初評価が嬉しいので次話も連投しますw!!