添い寝したいのはどっち!?異世界ヒロイン戦争
チラリとソアラに目をやると、シャーロットの発言に口をあんぐりと開けていたが、すぐに我に返って声を上げる。
「シャ、シャーロットさん!怖いなら私が添い寝しますから!」
「い、いやよ。彼は強いもの。一緒じゃなきゃ安心できないわ!」
「で、でもっ、ダメだよそんなの!だって、赤の他人の男と女が、二人きりで同じ部屋に寝るなんてっ!」
なぜか顔を真っ赤にして抗議してくるソアラ。そして、いつの間にか姿を消していたゲラルトは、廊下の柱の陰から――らんらんと目を見開いて、まばたきもせずにこちらを凝視していた。……怖い。
そんな状況の中でも、シャーロットはしがみついたまま、潤んだ瞳で訴えてくる。
「赤の他人じゃないわっ!だって、彼は私の胸を……繰り返し何度も揉みしだいたもの!」
揉みしだいてませんけど!?
シャーロットさん、どうやら手段を選ばなくなって来ているご様子。
それだけ余裕がないのか、これから既成事実を作るつもりなのか。
ちらりとソアラに目を向けると、今度は顔を真っ青にして、口をパクパクと動かしている。この酸素が足りない金魚みたいな顔、最近よく見る気がするなぁ。
そんなことを考えていると、髭オヤジはゆらりと柱の陰から出て、こちらに歩み寄ってくる。まばたきをしない真ん丸な、狂気をはらんだ瞳のままで。
「わがままを言うんじゃないソアラ。困ってるじゃないかぁ……うふふ」
「でもっ、お父さん、でも……!」
「恋人どうしの時間を邪魔しちゃいけないよ。家族としてのマナーじゃないか。そんなことばかりしていると、お兄ちゃん、おうちから出て行っちゃうぞぅ。うふふふふ」
「っ!……っっ!!……わ、わかった」
――やはり、誤解されている。
とはいえ、この状態のシャーロットをひとりにしておくのも不安だ。せめて彼女が眠りにつくまでは、そばにいたほうがいいかもしれない。万が一、変な気を起こさないとも限らないし……。
そんなわけで、結局シャーロットと同じ部屋で寝ることになってしまった。




