14/57
納刀一閃
その夜。俺は、夢を見た。とてもリアルな夢を。
そしてそれはどうやら現代の夢ではないようだった。
古い道場の中。現在の京都はいつ敵方に不意打ちを受けてもおかしくないだとか、武士たるものはどうたらこうたらだとか説教する爺さん。
その横で俺は、ひたすら剣の稽古に明け暮れている。
不意打ちで斬りかかられた際に、納刀状態の刀を相手の剣閃に合わせてカチ上げ、そこから抜刀して敵を切り落とす。いつ襲い掛かられるか分からぬ現在の状況では、このような技の習得こそ急務であった。
そう、俺は守らなければならない。己の矜持を。俺と共に敵方に狙われることとなってしまった、己の家族も――――。