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第3話 ゴンザレス王国、到着

「どうだ、サリナ? ここからどれぐらいでゴンザレス王国に着きそうとかわかるか?」


 俺とサリナはゴンザレス王国からかなり外れた位置に到着したようだ。

 周りは見渡す限り、砂煙が舞う、何も無い、ただの大地であった。

 建物や道路なども見当たら無い。


「そうね、多分2時間も歩けば着くと思うわ。空からゴンザレス王国は確認出来たし」

「おっ、そうなの? てか、ちゃんとやる事やってたんだな」


 サリナはギャーギャー文句を言ってただけかと思っていたが、実は空から位置を確認してたと言う。

 流石は俺直属の部下、出来たヤツだよ。


 2時間ぐらいで着くと言うなら『吹き荒れる風(ブラスト)』を使えばすぐ着くだろう。

 俺は『吹き荒れる風(ブラスト)』を発動。

 目の前に風のジャンプ台を作る。


「よし、乗るぞ」

「乗ったらどうなるのよ?」

「飛ぶぞ」

「でしようねぇぇぇー!」


 俺はサリナの腕を取り、風のジャンプ台に飛び乗る。

 落下の勢いを殺すのとは逆の発想。

 今度は風に打ち上げられ、一気にゴンザレス王国へと飛んでいく。


「私まだ方向言って無いわよ! 逆、逆ー!」

「あちゃー」


 勢いで飛び出してしまったが、方向が違ったようだ。失敗、失敗。

 俺はまた『吹き荒れる風(ブラスト)』を使い、飛んでる先にジャンプ台を設置。

 今度はサリナの指さす方角へと、風に打ち上げてもらうのであった。



◇◇◇◇◇



 風に運ばれた俺たちは、ゴンザレス王国の正面入り口に到着した。

 

「おぉ、でっけー壁だな〜」


 俺はゴンザレス王国を囲む、大きな外壁を見上げる。

 高さは15メートルってとこかな。5階立ての建物の高さぐらいだな。

 ギフトを使えば飛び越えられそうではあるが。

 不法侵入とかで捕まりたくないし、正面から入るか。


「ちょっと待って、トール。もしかして正面から入ろうとしてる?」


 堂々と入国しようとする俺を、サリナは引き止める。

 

「何やってんの? 敵国に堂々と正面から入るバカがどこにいるのよ!」

「敵国って、おいおい。勇者が召喚されたからって100パーセント敵って訳じゃ無いだろ?」


 サリナはゴンザレス王国側を敵として見ているようだ。

 だが、俺はそれが決めつけだと思っていた。


 確かに、今まで異世界から転生してきた勇者の大半が「魔王死すべし!」なんて言いながら俺たちに向かって来る。

 けど、中には話の通じるまともなヤツも、少なからずいたんだ。

 今回の勇者がどういうタイプなのかわからない状態で、最初から敵認定するのは早計そうけいだろ。


 それにゴンザレス王国だって、ノリで勇者召喚をしたってことも考えられるだろ?

 勇者……名前カッコいいもんな。

 俺が国の王様とかなら、自分の国でも勇者召喚してみたい! とか思うかもだし。


「敵認定早すぎないか? ゴンザレス王国のこと何も知らないで」


 俺はサリナに落ち着けと言ってやる。

 しかし、サリナはその言葉を聞いて、トールが何も知らずにここまで来たことを理解したのだった。


「バカ! 何も知らずにここまで来たの? 信じられない!」

「バカって言うなよ。知ってたら何かあんのか?」

「ホントに言ってる? あのね、ゴンザレス王国は『世界安全支配機構非加盟国』なの!」

「え? ……マジで言ってる?」


 俺はサリナの発言にビックリ。

 その様子を見たサリナも、俺の無知さに頭を抱えていた。


 ゴンザレス王国は世界安全支配機構非加盟国。

 つまりは、世界安全支配機構が掲げている理念『魔王が安全に支配する世界でみんな平和に暮らしましょう!』に賛同していない国ってことだな。

 ……えっ、敵対国じゃん!


「早く言えよ!」

「知らないなんて思わなかったわよ! 魔王なんだから、世界のことぐらい少しは勉強しなさいよ!」


 使えねー社員だなと睨む俺を、サリナもバカ社長とののしりながら睨み返してくる。


 でもそうか、非加盟国だからゴンザレス王国なんて国、聞いたこと無かったんだな。

 会社の社長に就任して加盟国のお偉いさんたちとはちょいちょい会うから、俺も努力して他の国を覚え始めてるところだったが。

 会ったことも無いどこぞの国なんか、俺が知ってる訳ないだろ!


「俺、元々一般人なの! そんな仲良くしませーんって言ってる国、いちいち覚えてたらキリないだろ! そういうとこ、ちゃんとサポートして欲しいぜ。お前、役員だろ? 俺が世界とか興味無いことわかっとけよ!」


 俺は自分の無知さを棚に上げて、呆れ顔のサリナに本音をぶつけてやる。

 すると、サリナも社長に向かって思った事を、ハッキリと言うのであった。


「私、法律担当! そもそも外交は管轄外なの! 人選ミス! サポートとか言う前に自分で調べてから来なさいよ! この、バカ社長!!」


 サリナの口から出る暴言の数々は、俺のガラスの心にグサグサと突き刺さる。

 何年社長やってるの? ホントに医学生だったの、頭悪いくせに? 童貞に守れる世界なんて無いわよ、ダッサ! とサリナの言葉の弾丸は尽きることを知らない。


 俺はサリナとの言い合いに完全敗北。

 膝を地につける結果となってしまった。


「さ、サリナさんや。そろそろ辞めていただけませんか? もう俺が悪かったと認めます、なので……」


 地べたに這いつくばり、土下座のような格好でお願いする。

 それを見たサリナも気が引けたのか、わかったと言って、暴言吐くのを辞めてくれた。


「恥ずかしいから辞めてよね、もう」

「そうだね。他の人たちもこっち見てるし、魔王が土下座って恥ずかしいよな、ははは」


 土下座を辞め、立ち上がってニヘラ笑うトール。

 それに対し、サリナはトールの発言を聞いて唖然とたのだった。


「ちょっと待って……今、他の人って言ったかしら?」

「ん? 言ったけど。ほれ、あそこ」


 俺はゴンザレス王国外壁にポツポツと開いた、国の外を見るために設置されたであろう穴を指差す。

 穴を見ると顔を覗かせる人たちが数多くいた。

 なんか叫んでるような気はするけど、ちょっと遠すぎて何と言っているかまでは、俺にはわからなかった。


「今出れるだけの兵を全て出せ! 魔王だ、魔王が来たぞーーー!!!」


 トールとサリナの知らないところで、ゴンザレス王国は魔王の襲来に大騒ぎしていたのだった。

はじめましてゴシといいます。

読んでいただきありがとうございます!

この話を読んで面白そうって少しでも思ってくださる方がいてくれると嬉しいです。

まだまだ話は続いて行きます。これからも更新して行きますのでブックマークの方もよろしくお願いします!


下の★★★★★を押して応援してくれると嬉しいです!

応援されてると思うとやる気めちゃ出てスラスラ書いちゃいます。

これからも愛読と応援のほどよろしくお願いします。

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