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6-11 残酷な世界の理

「オーウェンの無念を、その身に刻みつけてやる!」

「グレンに詫びて死ね、ガルダス!」


 怒りと憎悪を爆発させ、ライルとヴァルトが床を蹴った。二人の剣が、魔力が、最短距離でガルダスの首筋へと迫る。


 だが、ガルダスは眉一つ動かさない。ただ、手元の端末のスイッチを──カチリ、と、冷淡な音を立てて押しただけだった。


「おおっ!?」


 突如、ライルたちの背に巨大な鉄塊を乗せられたかのような高重力が圧しかかった。踏み込んだ足が床にめり込み、全身の骨が悲鳴を上げる。一歩も動くことができない。


「慌てるな。……客人を迎えるには、いささか騒がしすぎる」


 ガルダスは表情を変えず、身動きの取れなくなった二人にゆっくりと歩み寄った。その足音は、死の宣告のように静かに響く。


「ヴァルト、お前が生きていることは知っていたぞ。回収を命じた奴から、死体が見つからないと報告を受けていたからな」


 圧力を受けながらも、ヴァルトが血を吐くような思いで顔を上げた。


「……っ、泳がせていたとでも、言うのか……!」


「もし、私に辿り着くことができたなら、チャンスを与えても良いと思ってな」


「モルモットになることが……チャンスとでも言うのか!」


「はっはっはっ。言葉通りだよ。特殊部隊で、再び私に仕えるチャンスだ」


 ガルダスは二人の周囲を、檻の中の獲物を観察するように歩きながら、独白にも似たトーンで語り始めた。


「私は強い力を求めている。それは世界の残酷なことわりに抗うためだ」


「残酷な理だと……!?」


 ライルの問いに、ガルダスは背後にある水槽の「肉塊イリーナ」を見遣った。


「そう、世界の境界を維持する装置、神木に抗う力だ。

特定の種が増えすぎて生態系のバランスを崩し、世界に乱れが出ると……神木は『滅亡の実』を実らせる」


「何を……言っている」


「70年前、竜の大群が現れ、人類が滅亡しかけた歴史を知っているだろう?

あの大量の竜は、外から来たのではない。神木が産み落とした殺戮生物だ。増えすぎた害獣──人間を間引くためのな」


 ライルの頬を、冷たい汗が伝う。ガルダスの語る言葉は、御伽噺おとぎばなしにしてはあまりに重く、真実味を帯びていた。


「それが、もうすぐ始まると言うのか……」


「神木と唯一対話できるリアナ女王の予言によれば、そのようだな……」


 ガルダスはそこで言葉を切り、ライルの目を真っ向から見据えた。


「その『滅亡』を止める手段を、かつての英雄共は誰も持たなかった。……だから、私が造るのだ。

神木が産み落とす竜さえも喰らい尽くす、最強の『人類』を!」

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