表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
暗殺依頼を受けたらとんでもない事になった  作者: ちんくろう
2章 伝説のゴーレム起動!振り下ろす王室への鉄槌  〜新たな仲間「セクハラ絶対殺すウーマン」現る〜
13/46

2-4 繋がれた絆、隔たれた心

薄暗い森の中、木々の葉がざわめき、足音が吸い込まれるように消えていく。

討伐隊は息を潜めて進んだ。


上から木の葉が舞い落ちる、見上げると、木々の間からこちらを狙う眼が赤く光っていた。

猿型の魔獣が、鋭い牙を剥き出した頭上から襲いかかる。

「来るぞ!」

オーウェンの叫びと同時に、魔獣が隊列に飛び込んだ。


悲鳴と怒号が入り乱れる中、ライルは迫りくる魔獣の爪を辛うじて躱し、剣を振るうが、魔獣は素早くそれを避ける。


次の瞬間、肩に鋭い痛みが走った。

魔獣の爪が肩を掠めたのだ。

体勢を崩したライルに、別の魔獣が背後から迫っていた。


「ライル!後ろ!」

オーウェンの必死な叫びが響く。

振り返ると、魔獣の爪が背中に迫っていた。

その刹那、オーウェンの剣が魔獣の首を斬り落とす。


「助かった…!」

ライルは息を切らしながら礼を言う。

「礼はいいから、集中しろ!」

オーウェンは周囲を警戒しながら叫ぶ。

「連携して一体ずつ確実に仕留めるぞ!」


その頃、隊列の前方では、東洋の刀が異様な輝きを放っていた。


ビャクは、眼前の魔獣を一刀両断にすると、頭上から降ってくる二匹の魔獣を、空を切り裂くかのようにまとめて斬りつけた。


刀は、まるで生きているかのようにうねり、魔獣の首を正確に斬り落とす。

その動きは、洗練された舞のようでありながら、同時に死を運ぶ刃でもあった。


「凄いな…」

ライルは感嘆の声を漏らす。

「いや、危ういぞ。あれは味方を全く信頼していない。全て自分で対処しようとしている。」

オーウェンは心配そうに言った。


その時、近くで戦っていたカイゼル髭の騎士が、魔獣の一撃で吹き飛ばされ、ビャクの方へ飛んでいった。

ビャクの背中に騎士が激突しようとした瞬間、ビャクは素早く振り返ると、騎士を確認することなく一刀両断にした。


騎士は悲鳴を上げる間もなく、真っ二つに斬り裂かれて絶命する。

その光景を見たオーウェンは、怒りを露わにビャクに詰め寄った。


「よく見ろ、味方じゃないか!」

ビャクは毅然とした態度で答える。

「不注意は認めるが、不用意に近づくな。」

「近づいたら仲間でも斬るのか!」

オーウェンは激昂した。


ビャクは唇を噛み締め、静かに言った。

「仲間…だと? 私に仲間なんていない。そこまで言うなら、戦場で私に近づくな。」

ビャクは全てを拒絶するかのように言い放った。


戦いは激しさを増す。

ビャクの孤高な戦い方は、周囲を遠ざけさせた。

誰もビャクの近くで戦おうとはしない。

孤立するビャクは格好のターゲットとなり、魔獣は自然とビャクに集まりだす。


圧倒的な数の暴力で魔獣は襲い掛かる、それを見たオーウェンは堪らず、ビャクを庇うように飛び出した。

次の瞬間、ビャクの刀が閃いた。

狙いは魔獣だったが、オーウェンが間に入ったため、刀は彼の肩を捉えてしまう。


「……っ!」

オーウェンはその場に倒れ込む、肩からは鮮血が溢れ出し、顔は苦痛に歪めていた。

「 なんで……」

ビャクは我に返り、愕然とする。


その直後、五体のゴーレムが上空から舞い降り、着地と同時に大地を揺るがした。

ゴーレムは、高さ二メートル五十センチを超え、全身を硬い岩石で覆われている。

その巨体は、まるで生きた要塞のようだ。


ゴーレムは鉄球を振り回し騎士達に襲い掛かる、その一撃は周囲の木々を粉砕する程の威力だ。


「これは悪夢か」騎士達からは心の声が漏れる。

疲弊の色が見える討伐隊に、更なる敵の増援は絶望感を募らせた。


隊列の後方、荷馬車の屋根に座っていたアルバスがゴーレムを見つめる。

「メルランの仕掛けはこれで全部だな」

静かに呟くと、ゆっくりと腰を上げた。


ふわりと浮き上がり前進しながら、身体を炎に包み込ませていく。

アルバスは、纏う炎を凝縮した火球を、矢継ぎ早に放った。


命中した火球は、ゴーレムの分厚い岩肌を貫き、内部に侵入する。

炸裂する炎は、ゴーレムの動力源である魔力を打ち砕き、数体の巨体を内部から崩壊させ、爆発四散する岩片は、周囲の魔獣をも巻き込み、次々に炭へと変えていく。


残ったゴーレムたちは、鉄球を振り回し、必死に抵抗を試みるも、アルバスはさらに両腕を広げ、自身を中心に渦巻く炎の竜巻を発生させた。

炎の竜巻は、ゴーレムたちを巻き込み、赤熱化した鎖を軋ませながら、空高く舞い上がらせる。


服と髪を逆立て、全身を炎で覆うアルバスは、まるで鬼神のようだ。


熱風に巻き上げられたゴーレム達は、岩肌を赤黒く変色させひび割れて、脆くも崩れ落ちていく。

残った魔獣たちも、炎の熱に耐えきれず悲鳴を上げながら逃げ惑う。


ゴーレムの残骸が降り注ぐなか、アルバスは、その中心に佇んでいた。

周囲には、焼け焦げた大地と、黒煙を上げる残骸が残されている。

戦場を支配する絶対的な存在として、アルバスはその力を見せつけた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ