序章 3話
設定の変更があったり、キャラの正式名を考えていたら遅くなりました。
「離せ!行かないと、あの子のとこに行かないといけないんだ!!!」
「離せと言われても、許可無くこの塔に近付く者は全員崖に落とすことになっている!それが例え貴族や王族でもだ!」
俺の抵抗なんて、エレンが閉じ込められている塔の屈強な門番にはまるで歯が立たない。
親にこの計画がバレることはいい。
問題は、俺の手がエレンに届かないこと。
俺は…また⸺”また”…?
前にも、似たようなことがあった…?
そんな俺の思考はすぐに掻き消えた。
「じゃあなクソガキ。二度とここに来るんじゃねぇぞ」
「⸺っ!?」
俺の身体は⸺宙に、浮いた。
***
「⸺せ!⸺⸺と、⸺⸺行かないとい⸺だ!!!」
「⸺われても、許可無くこの塔に⸺⸺者は全⸺⸺に落と⸺⸺ている!それがたとえ貴⸺や王族で⸺だ!」
*
聞こえない。
少し前に階段の方から聞こえた、言い争いの声はただの幻聴なんだ。
だって、アランは私をここから出してくれるって、”絶対”出すって、約束したんだから。
絶対なんだ。
だから、今階段を降りてきているのは、絶対、アランなん⸺ぁ…
「⸺よぉ、天鬼。ようやく見えた希望の光が幻だったことに気付いた気分はどうだ?」
な、んで、アランじゃ、ないの?
「ふっ、イイ顔してるなぁ。お前の希望の光は、俺に勝つことなんて出来ない」
ぁあ…そ、んな…
「三日間、食事は出させない。これに懲りたら二度と逃げ出そうと考えんじゃねぇぞ」
「まって、おとうさま。私、食事がないと、死んじゃうよ…?」
「半分吸血鬼混じってんだから、三日くらい平気だ。生きる分にはな」
おとうさまの背中はどんどん遠くなる。
まって、行かないで。
いま、一人になるのはやだよ。
父でもいいから、誰かいてよ。
私のチカラは働くことなく、とても暗くて寂しい牢獄の中で過ごすことになった。
***
多くの部分が混ざっていた思考が、唐突に分かれた。
多分それは、彼によく似た少年と会える確率が下がったから・・・・・・くっ、あの男の言葉は効いてない…効いてないから!
あまり物事を見ていない彼女が多少大人びているのは恐らく、私の影響だろう。
時折、意識がズンっと引っ張られる様に感じるのは、まだ私も彼女も分かれている状態に慣れていないからだろうか?
彼女をあの男の近くに居させるのはダメな気がする。
私の身勝手で悪いし、時間が掛かってもいいから、彼女をここから逃がさなきゃ。
もちろん、彼女の姉も一緒に。
***
「はっ…はぁ…エレン、どこまで、行くの?」
いつの間にかエナの手をとって、森の中を走っていた。
あんまり運動に縁がない私の身体は息が上がって、全身から汗を流している。
なんで外にいるの?
その疑問が頭を埋め尽くす。
だからなのか、直ぐには気がつかなかった。
「⸺きゃあ!?」
エナの声が聞こえた方に視界をやると、紫の毛色を持った狼がいた。
⸺やべっ、この子ら戦闘経験無いどうしよう?
次回の更新をもう少し早めに出来るよう頑張ります。
追記
ちょこちょこ文章変わってたり増えたり・・・してますね。