序章 2話
牢の中にいたのは、支配者階級の俺たちと同じ"吸血鬼の羽"と、絵本や昔話でしか見たことない"天使の羽"が生える・・・少女だった。
「『天鬼』だ」
『天鬼』?・・・そうかこの子が、十年前に噂になっていた"王が天使に生ませた子”の内の一人か。
「あっ・・・ぁ」
目が、合った。"怯えた目"をしている。
「(まだ、、、救える)」
直観で、そう思った。なぜ?俺は、こんな目を見たのは初めてだ。なのに・・・救える?なんでそう思った?分からない・・・頭が痛い。
「こいつは血縁上は我の娘だが、こいつのチカラは有用だ。恐怖で支配するのが、一番簡単で、操りやすい。最近あまり言うことを、聞かなくなってきたのがネックだがな。」
その言葉で、現実に戻される。
こいつはクズだ。
自分の娘を道具として扱い、恐怖で支配する。
「こ、子供同士で会話をさせてはいかがでしょうか」
俺の親は逃げる判断をしたらしい。
小心者を演技で隠す奴には荷が重いらしい。
「ふむ。時間になったら迎えをよこす。それまでいろ」
「っ…はい。わかりました」
そう答えるしかなかった。
"愚"がついてもあいつは、王。
⸺コツコツコツ
・・・行ったみたいだ。
「ふぅー・・・・・。」
息を吐く。自身が思っているよりも、緊張していたみたいだ。
牢の方を見ると少女はまだ震えていた。大方、あいつに緊張していたんだろう。
俺もまだ・・・震えている。
「だい、じょうぶ、です、かぁ?」
自分だって震えてるのにこっちを心配するなんて。いい子だなぁ。
きっと、あの"天使"様は、国を引っ掻き回した"悪女"なんかじゃない。
優しい"天使"だったんだ。
***
父と肥った貴族が出て行きました。残った青年に目を向けます、長い金髪を一つにまとめ、後ろに流し、深い青色の瞳をした綺麗な人。
「大丈夫。ありがとな」
こんな私に笑みを向ける青年に、私の心臓はドキドキと大きな音が鳴る。どうして?分からない。
「顔赤いけど、大丈夫?」
「大丈夫…です」
*
それから一年、時折アランは私に会いに来てこっそりと甘いものをくれたりいろんなお話だったりを聞かせてくれた。
そうして、ある計画を話してくれた。
私を牢獄から出す計画を。
⸺あぁー・・・・・・つら。
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