序章 1話
始まりです。
サブタイは前書きに時々書かれるタイプ
”日常の終わり?”
「おい『天鬼』。飯の時間だ、食いな」
見張りの兵士は、嫌な顔をしながら牢の中に向かって硬いパンを投げつけます。
私はエレン。この世界の王の娘の一人・・・なのですが、今はお城の地下牢にいます。母の顔は覚えておりませんが、父親の顔は知っています。私をこの牢に閉じ込めた本人なので嫌いです。
同じ母を持つ姉、エナによると、私が三つのころ、母は父親に殺意を向けられ、殺し屋が何人も雇われたり、食事に毒を盛られたりしたそうです。そして父親自らが、殺しに来た時、逃げたのですが、気づくと母は"消えた"らしいです。
⸺なんであの親父は母親を殺そうとしたんだ?
?………そのあと、エナに関する記録等が消され、城で奴隷のように扱われています。たまに隙を見て、抜け出したりしては私とお話ししたり、勉強を教えてもらったりしています。
エナは「大丈夫」と言っていたけれど、見るたびにエナの体がやせ細り怪我だらけになっており、見ているだけで、私も心が痛くなります。
私が牢の中にいる理由をお話ししていませんでした。
私には生まれつき、『願った方へ未来が傾く』というチカラがあります。父親はその力を『天秤』と呼び、戦争や政治にこの力を使おうとしております。なぜ、私はこのチカラを持って生まれてきたのか。そう考えながら、今日も牢獄の片隅で過ごします。
⸺さむい……さみしい……あのころみたいは、やだ。
***
「アラン。もう少し背筋を伸ばさんか。ここが客間だろうが王城。跡継ぎの自覚を持て。」
俺はアラン。大貴族と呼ばれる家に名があるが、あまりその連中が好きではないので、いつか家を出ていこうと思っている。
先ほどの声は嫌なことに、俺の父親である。俺が家の中で一番好かない奴だ。ではなぜ一緒にいるのかというとゴm・・・おっと、王に会わせるのがこんな王城に来た理由だ。
「お前ももう成人だ。なのに今まで王に会ったことがない、恥ものだ。」
うるさい、お前らの世間体なんて知ったこっちゃないんだよ。
「失礼します。面会のご準備ができましたのでお越しください。」
俺と同年代に見えるメイドが呼びに来る。このメイド、痣が多すぎないか?・・・チッ、これだから俺はこの世界の上位連中⸺吸血鬼共は嫌いなんだよ。
***
誰かが階段を降りてくる足音がします。しかも一人ではなく、複数の足音です。そして、話し声も聞こえます。おそらく、父親が信頼する者でしょう。
「この城にこんな場所があったとは。それにしてもなぜ、私共をここへ?」
どうせ私を見せ、自慢をするためでしょう。それ以外この人がここに来る理由はないのですから。
「それはな、お前は我の親友だ。だからここへ連れてきたのだよ。」
親友・・・そんな存在が貴方に居たのですね。
「ついたぞ。おい、牢の前に出てこい」
来ていることは分かっていたのに、体が跳ねる。・・・怖い。いつもこうだ。この人に会うと体が震える。だけどこの人は、ここでの上位の存在。命令を聞かないといけない。それは私がこの場所で一番身分が低いから。それこそ、奴隷よりも。勇気を出して牢の前へ出る。
この時のこの出会いが、私の狭く暗かった世界を広げるきっかけになり、甘く苦い出来事に繋がるなんて、この時の私は、思いもしなかった。
⸺そう。私が・・・・・−−−−−−−−−−−−−。
小話
元々プロローグとエピローグも入れようと思ってたけど面倒なので廃止しました。
追記
少しだけ増やしました。
それと、設定が変わったから書き換えました。
まぁ一言で言うと……親父は側妃を侍らせていて、正妻を持たず、子が男でも女でも容赦なく部下として⸺繧ィ繝ャ繝ウを呼び出す道具としか見ない。