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☆勇者

「ふん!」


 気合をいれて剣を振り下ろし、獅子の顔に山羊の体を持つキマイラを真っ二つにしたのは勇者だ。

 勇者しか身に着けられない特殊な鎧を纏い、重さを感じさせない動きで魔物を蹴散らしていく。


「すごい、すご過ぎますぅう。今度の勇者様は魔王を滅ぼしてくれるはずだわ!」


 聖女ソフィアが勇者の背後で歓声をあげる。

 青みを帯びた銀色の長髪が跳ね、たわわな胸がぷるるんと揺れるのが厚手の服の上からも見て取れる。毎回のことであり、何十回、何百回も見ている光景なのに、二人の男ーー戦士タルカンと魔法使いシルダが眼福とばかり、横目でしっかり捉えていた。

 勇者はそんな後方の仲間の動きなど気にすることもなく、バッタ、バッタと魔物を倒していく。

魔王が誕生し、人の世界は滅びを迎えようとしていた。魔王が率いる魔物によって人は蹂躙され、今や一国のみが魔王に反旗を翻している。

 最後の人の国、カレンディアは最後の希望を託して異世界ニホンから勇者を召喚した。

 勇者ミオは細身の()()であったが、腕力も魔力も優れた者で、勇者の鎧を身にまとっても、その動きが鈍ることはなかった。

 中性的な外見は、王女であり聖女ソフィアの心を掴んで離さず、王の反対を押し切って、王女自ら今回の魔王討伐の旅に加わっている。

 それまで4回の討伐隊が組まれており、優秀な戦士や魔法使いたちが戦死していた。

 今回が最後の戦いだと、王は温存していた最強の戦士と魔法使いを放出し、パーティを組んだ。

 勇者ミオ、聖女ソフィア、戦士タルカン、魔法使いシルダの4人は、これまでにない成果を上げ、魔界侵入に成功……。


(うっせー!私は女だっちゅうねん。そんな色気なんていらない。ウザイ。魔王を早く倒して帰りたい)


 実際、勇者ミオは、普通の女子高校生だった。

 散歩をしている途中、急に光を浴びて気を失った。

 目覚めるとそこは異世界。

 背が高く、髪もショートカット。

 残念ながら貧乳。

 顔も中性的。

 少年認定を受け、召喚された勇者とし、魔王を倒すとニホンに戻れるという言葉を信じて、彼女は黙々と前に進んでいた。


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