同性にされた恋人繋ぎ
通学鞄を肩に提げ、椅子から腰を浮かした刹那に声を掛けられた。
「筒海さん、一緒に帰らない?急いでないなら、だけど……」
「えっ?良いんですか、私なんかで?」
「筒海さんと帰りたいから誘ってるんだよ。大丈夫?」
「大丈夫です。じゃあ……」
差し出された片手に手を伸ばす私。
「さっいこ〜!」
伸ばした手をぎゅっと握った彼女は空いてる左腕を高々と挙げて歩き出した。
彼女に手を引かれたまま、私は彼女の背後についていく。
「筒海さん、カフェでお茶しよ〜!嫌ー?」
「いえ、嫌じゃ——」
「カフェでお茶ね〜今から」
塔洞美桜凛は握る手の力を抜き、指を絡めていわゆる恋人繋ぎという握りに変えてきた。
「えっあっあ……あの、塔洞さんっ!?」
「ただの、恋人繋ぎだよ。筒海さんって、したことないんだ〜ウブだねぇ。あははっ!」
私の動揺っぷりに塔洞さんがにまにまとニヤけた表情を浮かべてから吹き出す。
「わっ、笑わな、いでください……うぅぅ」
「ごめんごめん、筒海さん。で、でもさ、恋人繋ぎくらいでそんなんだったらさっ、ぷふぅっ……めん。睨まないでよ〜筒海さん」
「笑いすぎですよ、塔洞さん」
登校したときに話したのと大分印象が変わった。
校舎を抜けても彼女は恋人繋ぎをやめてはくれなかった。
掌が汗ばんで、申し訳ないのがあった。




