幼馴染との別れ
幼馴染とは、とても仲良しで、突き放されるなんて思いもしなかった。唐突な別れを幼馴染とした。
私、筒海奈々は幼馴染である永倉佳那汰に恋をしていた。同い年ではない、9つも離れている。彼への想いは溢れだしていた。中学生になる直前、彼が私を突き放し、肩を押してきた。私は後ろに倒れたが謝ってくれることなく、手を差し出してくれることもなく、私を置いてきぼりにした。
翌日、彼の家に向かうと駐車しているはずの車がとまっておらず、違和感を感じた。
インターホンを押しても、誰も出てくれなかった。
扉を開けようとしたが、鍵が締まっていた。
「どうしたの、奈々ちゃん?永倉さんならいないよ」
後ろから、近所のおばあさんの声がして、振り向くと衝撃の言葉に耳を疑った。
私は、おばあさんに駆け寄り尋ねると話してくれた。
今までの楽しい想い出が次から次へと浮かんできた。目もとが熱くなっていった。目障りだったのかな、仕方なく遊んでたのかな。頭の中に昨日の彼の顔が出てくる。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ──
「──したの。どうしたの、奈々ちゃん。泣かないでよ」
おばあさんの声で泣いていることに気づいた私。
頬を伝い、アスファルトに落ちた雫。
おばあさんが私を抱き締めてくれる。
「ただいま」
帰ってきた私を無言で抱き締め泣き始めた母親の温かさに触れ、渇れたと思っていた涙が溢れだしてきた。
彼とは、高校入学のときに再会した。
教師と生徒の関係になった。幼馴染という関係は──。