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真剣に読まないように。

ライバルは、我がママ。

作者: caem
掲載日:2021/01/07


「あら、いらっしゃい」


 無視されないだけマシだった。

 ネチネチといびられることもない。

 事務的なお見合いなどではなかった。

 長い恋愛の果てに、ようやく辿り着くことのできたーー彼の実家での出来事。


「ただいま」

 って。

 そう言えれば。

 気分を害することはないだろう。

 (とつ)いだからには。


 んん?

 スリッパが用意されていない。

 裸足だ。

 ただでさえ冷たそうなフローリング。

 床下暖房なんて備えはなかった。


 嫌がらせにしてはじつに微妙だ。

 だが旦那には優しく、とびっきりの愛情に溢れたスリッパがある。

 当然なのではあったけど……。


 チッ、マザコンめ。

 聴こえないように舌打ち。


 ……歓迎されていないことは分かっていた。

 いわゆる玉の輿たまのこし

 俗に逆玉ぎゃくたまなどと呼ばれている。

 使い(みち)は間違っていたとしてとしてもーー、だ。


 結婚したからには。

 郷に従え、と。

 うまく取り入って、城を築きたいから。


「あら、お母様。 ここに埃が」


 バチバチと火花が散る。

 誰がご主人様なのかと。

 戦国は、まだ始まったばかりなのであった。


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