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白と黒③

 打ち切りみたいな終わり方ですが、ちゃんと来週に続きます。いや、ホントすみません。

  レオナルドはラインハルトが『イイ感じのセリフ』を言った事で思わず気色ばんでいた。


 しかし、そこは見栄を張る事では随一のレオナルド。顔色を変えたのも一瞬の事で落ち着いた声色で、


 「やはり持っていたか。ラインハルト、君が派遣されているからには必ずそれを持っていると思っていたよ」


 とラインハルトが同盟破棄の書状を持っていたことを初めから知っていた様に言い放つ。


 実はこれに関しては全くのハッタリというわけでない。


 かつて聖王国では黒の聖剣の持ち主の使い方として、単独で同盟国に送り込み相手の国が裏切ったらその最大火力でその国を滅ぼす事がよく行われていた。また、相手から裏切らなくても、いつでも黒の聖剣が全開状態にできるように同盟破棄の書状をあらかじめ持たせていることも作戦として行われていたのだ。


 近年ではあまり行われていなかったが、『イイ感じのセリフ』を言うための勉強として歴史書を読み漁っていたレオナルドは知っていたのだ。


 そのためレオナルドは黒の聖剣が全開状態になったときのための備えを当然していた。


 「では、こちらも本気を出させてもらう事にしよう」


 レオナルドがその言葉が合図であるかのように白の聖剣も黒の聖剣に負けないほどのすさまじい魔力をまとう。


 「なに?!」


 これにはラインハルトも驚愕する。聖剣の力を引き出すには条件を整える必要があるはずだ。持ち主の意思だけで引き出す事は絶対に出来ないはずなのだ。


 「貴様、どういう手品を使ったんだ」


 焦っている様子を隠せないラインハルトだが、実はそれ以上にレオナルドが動揺していた。


 (はあ~?!て・じ・な!・・・さっきから何だよ、こいつは!『イイ感じのセリフ』には俺、興味ないっスけど?みたいな顔して、しっかりヤルことはヤルってか!全く白々しい奴だよ!)


 とラインハルトに対して理不尽な怒りをぶつけていた。


 もちろん、ラインハルトは『イイ感じのセリフ』を言おうなんて全く考えていないのだが。


 「手品でもなんでもない。白の聖剣の条件を満たしただけだ」


 レオナルドは不機嫌さを隠すように言い捨てるが、ラインハルトはさらに食い下がる。


 「しかし、貴様の聖剣の条件は『自己犠牲』ではないか!今の状態がどうして『自己犠牲』なのだ!」


 白の聖剣の条件を『自己犠牲』だと勘違いしているラインハルトには理解できない。敵の数が増えたわけでもないのに『自己犠牲』の状態になるわけがないと思っているのだ。


 「それはラインハルト、君のおかげだよ。『自己犠牲』とは不利な状態で戦うことでも現わす事ができる。君が黒の聖剣の力を引き出したことで私は不利になった。だから白の聖剣の力を引き出す事ができたのだ」


 淡々と説明するレオナルドにラインハルトは愕然とする。


 (こいつは・・・無茶苦茶だ。こちらの聖剣が力を引き出せば、自動的にこいつの聖剣も力を得るということか。まさに聖騎士殺しだ)


 聖剣は力を引き出すのが難しい条件を持つものが多いが、相手が強くなるだけで力を引き出せるなら白の聖剣は対聖剣に最も力を引き出すのが容易な聖剣と言うことになる。


 ・・・白の聖剣の条件が本当に『自己犠牲』だったとしたらだが。


 すでにレオナルド自身は知っているが白の聖剣の条件は『自己犠牲』ではない。むしろその逆ともいえる『自己顕示』だ。


 様々な誤解が重なって伝承では『自己犠牲』になっているが、本当は『自己顕示』なのだ。


 では、どうやってレオナルドは『自己顕示』である白の聖剣の力を引き出したのか?


 それは闘技場外にある魔道具のおかげだ。実はこの戦いはレオナルドの指示によって闘技場外にある魔道具によって映されているのだ。


 そしてラインベイスの多数の市民がそれを闘技場の外で見ているのだ。


 ここまでくればもう説明の必要はないだろう。


 レオナルドはその超人的な目立ちたがりの精神により、闘技場外で見られていることを感じ取ることによって白の聖剣の力を引き出したのだ!


 ・・・・言いたいことはいろいろあるでしょうが、引き出したのだ!


 後は見られていることを意識しながら『イイ感じのセリフ』を言うだけで更に注目を集めて白の聖剣の力を引き出すだけだ。


 今、全力の聖剣同士の戦いが始まる!

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