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白の聖騎士、ピンチに焦る


 「レオナルド様、さすがにあれはやりすぎだったんじゃないか?」


 豪放な性格のアリアスから見ても前回の馬上試合でのレオナルドのやり方は無茶苦茶に見えたようだった。なにしろ闘技場の半分を吹き飛ばしたのだ。闘技場を改造を担当しているラインベイスの誇る魔法工兵たちも今回はさすがに修復に時間がかかるのか3日ほど闘技場が休みになったくらいだ。


 「いや、あれでいいんだ」


 さも当然のように答えるレオナルドに、


 「そうですね。まさかあんな方法をとるとは思いませんでしたが、前回の戦いでようやく私にもレオナルド様の作戦がわかりましたよ」


 タイユフールもいつものように『レオナルドの作戦』をわかってくれる。


 「マジか?俺にはやらかしたようにしか見えなかったが、すべては計算の上だってことか」


 「そういう事です」


 驚くアリアスに、タイユフールはドヤ顔で答えている。そんな二人を見ながらレオナルドは


 (いやあ、俺もあれはやりすぎたと思ったんだがタイユフールがこういうなら結果オーライだったって事だな!さあーて、いつものやつを頼みますよ!)


 と冷徹な表情で考えていた。


 「で?今回はどんな作戦なんだ?」


 アリアスがいつものようにレオナルドの作戦(実際はレオナルドは何も考えてなくてタイユフールがイイ感じに解釈してくれているだけなのだが)の解説を求めると、


 (よしよし、そうやって素直にきくのがアリアスのいいところだぞ!)


 自分が立てたはずの作戦を知りたいと思っているレオナルドはしめしめと思うが相変わらず全く顔には出さない。


 しかし・・・


 「アリアス、今回は自分で考えるんですね。作戦を考える力もレオナルド様の側近には必要ですよ」


 タイユフールがまたもドヤ顔で答えると


 「おいおい、ケチケチせずに教えろよ!」


 あからさまに不満の声を上げるアリアスと


 (そうだ!ケチケチせずに教えろよ!マジで!どんな作戦かわからないと『イイ感じのセリフ』をうまく準備できないだろ!)


 表情は一切変えないでレオナルドも心中であせりの声をあげる。


 「ダメです。まあ、明日にはマルチェッラのところに行くわけですからすぐわかりますよ。それまで考える事ですね」


 「マジかよ~。めんどくせえな」


 からかうようにいうタイユフールにアリアスはげんなりしている。そしてレオナルドは、


 (マジかよ~!俺は作戦わかってないけど本当に成立するんだろうな?わかってなくても俺は作戦通りに行動できるのか?それは無理じゃないか?・・・いや、わかってみせる!明日までになんとか考えついてやるからなあ!)


 作戦がわからない・・・そんなかつてないピンチにめちゃくちゃ焦っているのだった。 



                                      *




一方レオナルドを招待したマルチェッラ側も揉めていた。


「マルチェッラ様、あの男を招き入れるのは危険なのでは?」


 執事はありえないほどの攻撃力を見せた『白騎士』を招待することに危惧を抱いているが、マルチェッラは気にかける様子もなく、答える。


 「大丈夫ですよ。彼はとても礼儀正しい人物ですよ。それにあれだけの実力者です。私はこのラインベイスにいる強者ついては知っておかなくてはならないのですから招待するのは当然でしょう」


 「そうかもしれませんが・・・、強すぎます」


 執事は眉をひそめる。主人の安全を脅かす可能性のある者は近づけたくないのだが、その様子をみてマルチェッラは苦笑いする。


 「あなたは心配性ですね。でも、忘れたのですか?この屋敷には現在ラインベイスに滞在している者の中で一番強い者がいることを」


 「そういえばそうでしたな。では、あの方にも立ち会って頂くのですね」


 ああ、それは忘れていましたねとばかりに執事はマルチェッラに確認する。


 「ええ。彼がいれば安心でしょう」


 「そうですね。あの方がいれば問題ないでしょう」


 マルチェッラ達は『彼』に絶大な信頼をよせているのだった。

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