白の聖騎士、決着をつける
白の聖剣が全開状態だったのですぐに決着がつくと思われたが、レオナルドとアリアスの一騎打ちは意外と長引いていた。
「すごい!すごいぞ!白の聖騎士!生まれて初めてだ!これほど強い者と戦うのは!俺は嬉しいぞ!」
初めはレオナルドの強さ(白の聖剣のおかげだが)に恐怖を感じていたアリアスだったが、今は戦い自体に楽しみを見出しているようだ。
「光栄だな。だが、私は誰が相手だろうと全力でお相手するのみだ」
(こいつマジか!聖剣が全開状態なのに俺と互角とは・・・これはもしかしたらシンゴよりも強いかも知れんな。ていうかキモチ悪い。なんでこの状態の聖剣相手に一歩も引かないんだよ。俺がこいつに引くわ!)
レオナルドがかなり失礼な事を考えていると、アリアスは少し怒ったような反応をする。
「全力と言うがそれなら、なぜ、魔法を使わない?お前は魔法と剣を組み合わせて戦うときいている。俺ごときには本気になるまでもないということか!」
「君とは魔法抜きで戦ってみたいと思っただけだ。それは私の騎士としてのわがままであって決して君を侮っての事ではない」
レオナルドはアリアスの不満に真摯に答えているように見えるが・・・。
(これだけ聖剣が目立った戦いをしているのに下手に神聖魔法なんかを使ってそっちが目立ったら、聖剣がすねて全開状態をやめるかもしれないからな~。俺の魔法なんぞよりも聖剣が全開状態の方が役にたつから魔法なんか使えるわけないだろ!)
これが本心だった。
*
二人の戦いは半日も続いたがまだ決着はつかなかった。
だが、互角だった戦いは今はレオナルドがかなり優勢になっている。
次第に体力が減っていくアリアスに対して、白の聖剣から継続的に体力回復効果を受けているレオナルドが優位になるのは当然なのだ。
むしろ半日も体力がもったアリアスが化け物というべきだろう。
しかし、決着の時は来た。
それは一方の死という物騒なものではなかった。
アリアスがレオナルドの打ち込みでその大刀を取り落としそうになった時だ。なんとかこらえたものの観念したように、
「俺の負けだ。これ以上戦っても勝てないだろう。ここまで付き合って頂いて感謝する」
と大人しく負けを認めたのだった。