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白の聖騎士、敵の首領と一騎打ちする

レオナルドが白雲にまたがって一騎で砦から出ていくと、一瞬、反抗部族は静かになったがすぐに今まで以上の怒号を飛ばしてくる。


 「貴様、たった一騎出てくるとは我々をなめているのか!」


 「死にたいのか!ふざけるな!」

 

 「なぶり殺しにしてやる!帝国の豚野郎!」


 大気を震わせるほどの怒声が飛び交うがレオナルドは冷静だ。

 そしてその不思議とよく通る声で言い返す。

 

 「その言葉そっくりそのままお返ししよう!そちらこそたった300でこの砦に戦いを挑むとは帝国をなめているとしか思えないな」


 (その言葉そっくりお返ししよう!はやはり定番だな。使うといい気持ちだ)


 レオナルドの挑発としか言えない言葉に反抗部族はさらにいきりたつが、その先頭にいる巨大な馬にまたがった大男で首領らしき人物がそれを抑えると


 「確かにお前の言う通りだ。もともとこちらが寡兵で挑んでいたのだから、一騎で相手をされても文句を言われる筋合いはないということか。

 だがお前の行動が無謀であることには変わりはないはずだ。名をきこう。お前は何者だ?」


 「私は帝国第八軍団所属の中隊長、レオナルドだ。白の聖騎士と言った方がよく知られているかな」


 レオナルドが名乗ると首領は喜色を隠さないで声を上げる。


 「お前が白の聖騎士か!なるほど、それならば300人相手にたった一騎出てきたのもうなずける。俺はジーナ族のアリアス!お前のような敵を求めていたのだ!」


 どうやら敵の首領であるアリアスはレオナルドの事を知っているようだ。

 レオナルドがたった一騎で帝国軍3000を相手にしたのは記憶に新しいのだ。


 「だが、我らは帝国軍のようにたった一騎に全軍でかかるような真似はしない。

 お前には俺との一騎討ちを受けてもらおう!もし、お前が勝てば俺たちはお前に従う事を約束しよう!」


 アリアスはその巨体に見合った大きな声を張り上げる。


 レオナルドも決して小さなほうではないがそれほど筋骨隆々というわけではないので、アリアスはまるでレオナルドの倍もあるように見える。


 そしてその手に持った大刀は白の聖剣の2倍の長さと3倍の幅はありそうな巨大なものだ。


 それをいとも簡単に振り回してその怪力ぶりをアリアスはアピールしてくる。

 そのアリアスを乗せている馬も真っ黒な化け物馬で、鼻息荒く興奮しているその姿は白雲に比べてはるかに大きい。


 (あれ、本当に人間か?馬も馬とは思えないデカさだし、あの大刀を軽々と振り回すなんてどんな力だよ。普通にしてたら受け止めたところでそのまま押し切られるだろう。よけるしかないのか?あれはシンゴとは別のタイプのヤバい相手だな)


 レオナルドは改めてアリアスの姿を見直してその危険度を分析するが、


 「いいだろう。その一騎打ち、受けて立つ!」


 この『イイ感じのセリフ』に取りつかれた男が断りのセリフを言うわけがなかった。


 確かにアリアスは強敵だ。

 しかし、レオナルドに勝算がないわけではなかった。

 それは自分自身の力によるものではない。肉体的に見てレオナルドは確実にアリアスに負けている。


 その勝算の一つは愛馬である白雲だ。久しぶりの戦いで白雲にものすごく気合が入っていることをレオナルドは感じていた。きっと限界以上のスピードで走ってくれることだろう。


 そしてレオナルドが勝てると思う最大の理由は白の聖剣だ。

 かなり久しぶりの目立てる戦いとあって白の聖剣がこれ以上ないくらいの力を発揮しているのを鞘に入れたままでもビンビンと感じているのだ。


 (こんなに白の聖剣が力をだしているのは初めてだ。帝国3000を相手にした時も凄かったが、今回はもっと上だ。よほど目立てるのが嬉しいのだな)


 「では、勝負だ!行くぞ!」


 アリアスがその大刀を力任せに振り下ろしてくる!

 レオナルドが思っているようにまともに受けるのは自殺行為だと思えるような勢いがあるが・・・。

 

 「どうした?その程度か」


 レオナルドは涼しい顔で白の聖剣で受け止めている。


 「ぐうう!バカな!」


 アリアスは悔しそうな顔で力で押し込もうと必死になるが、汗一つかかないレオナルドの白の聖剣は微動だにしない。


 「し、信じられん!これほどとは!」


 アリアスは部族一の怪力を誇る自分がこれほど力をこめているのに表情一つ変えないで受け止めているレオナルドに恐怖を感じていた。


 しかし、恐怖を感じていたのはアリアスだけではない。


 (うわー!ぜんっぜん力を入れていないのに受け止めれているんですけど!白の聖剣さんマジでヤバくないですか?どれだけ力を発揮したらこんな状態になるんだよ。なんか軽すぎて怖いよ!)


 レオナルドも同様に恐怖を感じていたのだった。

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[一言]  アリアスは部族一の怪力を誇る自分がこれほど力をこめているのに表情一つ変えないで受け止めているレオナルドに恐怖を感じていた。  しかし、恐怖を感じていたのはアリアスだけではない。 …
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