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白の聖騎士、イイ感じの宣言をする

 「今度の中隊長は凄いらしいな」


 「なにしろあの聖王国の聖騎士だったって話だ。俺も一度だけ聖剣持ちを見たことがあるがあれは次元が違うぜ?化け物だよ、化け物!」


 「そりゃあ、化け物に決まってるさ。確か第三軍団の3000人を相手にたった一人で渡り合ったらしいぞ」


 「3000人を相手にしたのか?信じられんな・・・」


 傭兵たちの間では自分たちの新しい隊長になるレオナルドの話で持ちきりだ。

 そのうちに自称情報通の傭兵がまるで自分の手柄のように話し出す。


 「それだけじゃねえぜ。あのシンゴにも勝ったって話だ」


 「シンゴってあの武者修行に来てた東方の小僧か?確か帝国十剣士ともいい勝負をするっていうやつだよな」


 「ああ、そうさ。しかもその時は聖剣を使わずに勝ったらしい。聖剣をつかったらとんでもなく強いに決まってるさ」


 レオナルドに対する傭兵たちの噂話はとどまるところがない。


 「じゃあ、よっぽどの豪傑なんだろうな」


 「いや、これが意外と優男らしいぞ。これはあくまでも噂だが、フローラ将軍も惚れてるらしいぞ」


 「マジか。俺、ちょっとフローラ将軍好きだったんだけどなあ・・・」


 いかにも残念そうに一人の傭兵が言うと、正規軍の騎士が口をはさんでくる。


 「貴様ら!余計な事をぐちぐちと言うな!」

 

 そう言ったのは以前レオナルドをフローラの元へ案内した男のうちの一人だ。

 彼らはフローラに頼み込んでレオナルドの隊の所属になっていた。


 「へいへい。黙りまーす」


 傭兵たちはニヤニヤしながら全く反省した様子はない。

 なんだかんだ言っても彼らの関心は自分たちの指揮官が使えるかどうかだ。

 個人的な戦闘力はもちろんの事、戦術が優れているか、部下を大切にするか、そのあたりが重要だった。


              *


 傭兵隊長のタイユフールの計らいでレオナルドのために傭兵たちが集められていた。


 「みんな聞いてくれ。これから俺たちの指揮官になったレオナルド様から話がある。いろいろ話は聞いているだろうが、ご本人から話をしてもらった方が納得できるだろう。それではお願いします」


 レオナルドはタイユフールを見てうなづく。


 (やはりタイユフールはいいな。こうやって俺のために『イイ感じのセリフ』を言う機会を作ってくれるとは!)


 レオナルドはタイユフールの有能さ(あくまでレオナルドに都合のいい有能さだが)にあらためて満足して演説し始める。


 「知っているとは思うが私は聖王国の聖騎士だった男だ。

 (『知っているとは思うが~だった男だ』うーん、いいセリフだ!)


 しかし、今は帝国に忠誠を誓っている。それはなぜか?

 (ここで一度疑問形をいれてっと)


  それは聖王国に裏切られたからだ!

 (強めに結論を言うっ!)


 私は裏切りが嫌いだ。相手に仕えると言うことは信頼してこその事だ。

 (『信頼』イイ感じのセリフには使っておきたい単語だよね)


 信頼がない者とは戦場を共にすることなど戦士としてはとてもできない事だ。

 (戦士としての心構えをここに挟むっと)


 そして信頼とは一方だけのものではダメだ。双方が信頼してこその信頼なのだ。

 (信頼の定義を確認して・・・)


 もう一度言おう!私は裏切りが嫌いだ!

 (『もう一度言おう!』は効果的なセリフだよねえ)


 だから、私は君たちを決して裏切らない!そして君たちも私を信頼して欲しい!」

 (決まった・・・。これはイイ感じに決まった)


 そう宣言してレオナルドが白の聖剣を引き抜いて天に掲げると、白の聖剣もここぞとばかりに目立とうとまばゆい光を辺り構わず放ちまくるのだった。

 


 

 

 

 

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