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白の聖騎士、思い出す

 やがて男たちの案内でフローラの待つ部屋にレオナルドは到着する。


 「レオナルド様、よかった。本当によかったです」


 フローラは少し泣きそうになりながらレオナルドの手を取っている。

 レオナルドの身代金が払われないと知ってからフローラは気が気ではなかったが、フローラ自身も帝国では外様であり、第八軍団の将軍とは言えまだまだ不安定な立場のために思い切った行動がとれなかったのだ。


 「ご心配をかけたようですね。ですがこの通りなんともありません」


 レオナルドは男たちに約束したように彼らに試されたことは言わない。

 その様子を見て男たちはホッとした表情になるがフローラは気づかないようだった。


 「レオナルド様には中隊長として私の軍団に来て頂く事になりました。本当は副将軍になって頂きたかったのですが・・・」


 フローラが申し訳なさそうに言うと、


 「いえ、中隊長でも十分すぎるくらいですよ。帝国での実績のない私です。いきなり副将軍になどになったら反感もあるでしょう。それこそ私は一兵士として帝国に仕える気持ちだったのですから」


 レオナルドは冗談ぽく答えているが、さすがにレオナルドクラスの者が一兵卒として配属される事はまずない。

 その言い方にフローラは少しほほ笑むが、また顔を曇らせる。


 「そう言って頂けたら助かります。もう一つ問題がありまして・・・」


 フローラはそこで一度口ごもるが、レオナルドが静かに待っていると意を決して話を続ける。


 「中隊長の配下は普通1000人なのですが、レオナルド様の隊には今はまだ700名しか集められていません。レオナルド様の隊のために私の軍団だけでは余裕がなくて急遽傭兵を募って人数を集めたのですが、それでも700名がやっとでした。申し訳ありません」

 

 頭を下げるフローラにレオナルドは少し慌てて


 「大丈夫です。なあに足りない分は戦術で補いますよ。そのくらいの事はしないと私を拾ってくれたガラハド皇子に笑われるでしょう」


 珍しく大口をたたく。正直なところ700名で1000名の隊並みの作戦行動をとることはかなり難しいだろうが、いつもの『イイ感じのセリフ』が出ただけだ。


(ただ、ちょっと月並みなセリフだよなあ)


 とレオナルド本人も納得していないが。


 そんなレオナルドの少し沈んだ様子を勘違いしたのかフローラが励ますように


 「代わりと言っては何ですが白の聖剣をお返しすることになったのです。これでレオナルド様は名実ともに白の聖騎士に戻られますね!」


 と言ったのを聞いてレオナルドは


 (あっ、そうか。俺は聖剣持ってたんだよね。すっかり忘れてたわ・・・。怒ってるかな?あいつ)


 自分が聖騎士であるための最大のアイテムをようやく思い出していたのだった。


 

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[一言]  (あっ、そうか。俺は聖剣持ってたんだよね。すっかり忘れてたわ・・・。怒ってるかな?あいつ)  自分が聖騎士であるための最大のアイテムをようやく思い出していたのだった。 ↑ レオナルド…
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