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白の聖騎士、充実の捕虜生活もあと少しになる

マリーに心配?されていたレオナルドだが相変わらずの調子だった。

 もし、マリーがそれを見たら「・・・変な事している」と思うかもしれないが。


 囚われの身でありながら帝国兵に乞われて『イイ感じのセリフ』をまじえながら武勇伝を話す日々。

 東方の侍と手合わせをして、明らかに実力が上の相手に勝ってみたり。

 さらに最近ではレイミアというちょうどいい悪役まで出てきてくれて、楽しいやり取りをしている。


 「言っておきますけど、あなたは一度シンゴに負けているんですからね!」

 

 「そうだな。彼の方が私より強いよ。手合わせで勝ったのも偶然だよ」


 レイミアの言葉に謙遜するようにレオナルドが答えると、その態度が余裕ぶっているように見えてさらにレイミアの癇に障る。


 「ふんっ!そうやってカッコつけていられるのも今のうちよ!もうすぐ聖王国に戻るんでしょ?そうなったら心置きなくあなたを叩き潰してやるんだから!」


 「その時は正々堂々とお相手しよう。もっとも叩き潰されるつもりはないがね」


 「・・・ムカつく!」


 レオナルドの冷静な対応にレイミアは怒りを隠さないでわかりやすくヒートアップしているが、レオナルドの心中はもっとフィーバーしていた。


 (これ、これ~!いいよねえ、この()に言える『イイ感じのセリフ』!

 武勇伝の中に『イイ感じのセリフ』を取り入れるのと違って、実際に()に言うと『イイ感じのセリフ』に生命(いのち)が吹き込まれた感じになるんだよねえ~www)


 白の聖騎士は常人には理解しがたい楽しみを見出している。


 「ずいぶん楽しそうですね」


 そう言って入ってきたのは先ほどまで話題に上っていたシンゴだ。


 「シンゴ君か。しばらくぶりだな」


 「旅立ちの準備をしていましたから。僕は明日立つことにしました。レオナルド様よりひと足先に帝国を去ることになりますね」


 「そうか。さびしくなる・・・」


 「シンゴ!旅に出ちゃうの?」

 

 レオナルドの言葉を遮ってレイミアがシンゴに詰め寄っている。


 「レイミア、君にも世話になったね。もともと僕は武者修行で帝国に立ち寄っていただけだからね。帝国で手合わせしてくれそうな相手とはだいたいしたし、まだまだ自分が未熟だってわかったしね」


 シンゴが未熟だと言うときにレオナルド一瞥する様子を見てレイミアは(こいつのせいか!)と思うがそれは誤解だった。

 シンゴは旅立つことになったから、その前にレオナルドとの立ち合いを望んだのだ。その勝敗は旅立ちには影響していないがそんなことを知らないレイミアはまた一つレオナルドに対して気に入らない点が増えていた。


 「それにしても急じゃない・・・」


 珍しくしおらしく言うレイミアに


 「また会えるさ。君の心遣いは忘れないよ」


 美少年のシンゴに誠実な態度で接せられてレイミアは赤くなっている。


 「レオナルド様もお元気で!僕はもっと強くなりますのでその時はまた手合わせをお願いします!」


 無邪気に言うシンゴに


 「ああ。その時を楽しみにしているよ」


 とレオナルドは大人の態度で返答しているが、内心では


 (・・・できたらやりあいたくないなあ。こいつがこれ以上強くなったら『イイ感じのセリフ』を言う前に瞬殺されそうだよ)


 かなりビビっていたのだった。

 



 白の聖騎士レオナルドが解放されるまであと三日。


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