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白の聖騎士、愛馬と再会する

レオナルドがジルたちと練兵場に向かう途中で帝国軍の厩舎を通りががると


 「ヒヒーン!」


 一匹の白馬が鳴き声を上げる。


 「白雲!元気でいたか!」


 レオナルドが珍しく感情をあらわにして喜んでいると白雲もレオナルドに再会できて嬉しそうに鼻息が荒くなっている。毛並みもつやつやしていてよく元気にしているようだった。


 「ジル殿、白雲を大事にしてくれているようで礼を言おう」


 「いえいえ、レオナルド様を乗せて聖王国に戻られるのですからね。丁重に扱っておりますよ」


 「白雲も解放してくれるのか。それはありがたい」


 捕虜の持ち物は身代金が払われても返す義務はない。捕虜の持ち物は基本的には戦利品として捕えた側の物になるが通例だ。白雲のような名馬ならば帝国にとっても有益なので返されなくても文句は言えないのだ。

 

 「確かにこの馬は素晴らしい馬ですが、あなた以外の者は乗せないようなのです。これでは返すしかありませんからな。ボードワン将軍がそうせよとの仰せなのです」

 

 ジルが笑って答えるとレオナルドは優しい目で白雲を見る。


 (俺以外は乗せなかったか。

  ・・・やってたな。白雲のやつ。『主以外は乗せない名馬』をやってたな!)


 レオナルドの考えを読んだのか、

 

 「ヒヒーン!」(やってました!ていうかレオナルドの旦那もやってたんでしょ?だから敵にそんな丁寧な扱いを受けてますね?)


 白雲も以心伝心とばかりに鳴いている。


 「まったく、私以外を乗せないとは強情なやつだ」


 しかたないやつだという風にレオナルドは白雲のたてがみをなでながら、


 (ああ、やってたさ。何しろここは『イイ感じのセリフ』の天国だからな)


 「ヒヒン」


 (確かに天国ですね。俺もかなり居心地がいいですよ)


 似たもの主従は二人にしかわからない会話をこなしている。これこそ人馬一体というやつかもしれない。・・・ちょっと違うか。

 

 「さて、名残惜しいでしょうが練兵場に向かいましょう。レオナルド殿が歩いていたら余計なギャラリーができるかもしれませんからな」


 ジルの言葉にレオナルドは敏感に反応する。


 「他の兵はいないのか?」


 「ええ。お二人の手合わせの邪魔にならないように人払いをしています。存分にされるとよいでしょう」


 「それはいろいろと気を遣わせるな・・・」


 心なしかレオナルドは元気のない声で礼を言う。


 「いえいえ。レオナルド様を見世物にするわけにはいきませんからね。これくらいたいしたことではありませんよ」


 ジルは自分の気遣いが逆にレオナルドの重荷になってしまったかなと反省しているが・・・。


 (観客はジルの兄貴だけか・・・。あんまりやる気でない・・・)


 レオナルドの元気のなさはせっかく見せ場なのに観客がいないためガッカリしただけだった。


 「ヒヒン」

 

 その様子を見て白雲も悲しそうに小さく鳴いている。

 

 (可哀そうな旦那。せっかく手合わせなんていう最高のシチュエーションなのに観客がいないなんて・・・)


 「そう悲しそうな顔をするな。またすぐに主人にあわせてやるからな」


 白雲の様子を勘違いしてジルは慰めの言葉をかけるのだった。

前話にて「レオナルド対シンゴ」と書いていましたが、そこまで行きつきませんでした。

次話こそ「レオナルド対シンゴ」になります。たぶん・・・。

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