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白の聖騎士、気絶しながらもイイ感じのセリフを言っていた。

数刻前・・・。


「すごい人だな。いくら聖剣とやらを使ったとはいえ、僕の限界まで気を高めた抜刀術・雷震に耐えるなんて」


シンゴは驚嘆していた。

力を使い果たして今は気絶をしているとはいえ、自分の全力の抜刀術・雷震を真正面から受け止める者がいるとは信じられなかった。

しかも、レオナルドはシンゴの抜刀術・雷震受けきって倒れる前に一言、


「見事だ・・・!」


と言い残してから気を失っている。

軍記物のクライマックスのような場面だったが、そんな事がわざとできるはずもなく、その姿こそが見事だとシンゴは感じた。


(この潔さ。まるで古武士だ)


シンゴは感動すらしていたが・・・。

もはやお気づきの方もいるだろうが、レオナルドは『わざと』『イイ感じのセリフ』を言っている。

と言うわけでこの「見事だ・・・!」も気絶する瞬間に最後の力を振り絞って『わざと』言ったものだ。

最後の力を振り絞るならもっとするべきことがあるだろうが、レオナルドにとっては『イイ感じのセリフ』を言うことはなによりも(自分の命よりも)優先される。


そんなことを知らないシンゴがこの立派な騎士をできたら生かしておきたいと考えていると、


「さすがですな。シンゴ殿」


帝国軍第3軍ボードワン軍団参謀のジルが近づいてくる。


「いえ、僕一人では無理でしたから。帝国兵の皆さんのおかげですよ」


「ご謙遜を。帝国兵では敵わなかったのでシンゴ殿にお願いしたのではないですか。それにしても恐ろしいほどの威力ですな。シンゴ殿の抜刀術は」


「この抜刀術を放つための精神集中する時間を帝国兵の方々に稼いでいただきました。だから僕一人では勝てなかったのです」


「ほおー、それほど時間をかけた技でも避けることができないならよほど速い技なのですな」


ジルは緑の聖騎士たちと同じような意見を言うが、シンゴは首を振る。


「確かに抜刀術・雷震の速度は速いですが、この聖騎士なら来ることがわかっていれば避けることもできたと思います」


「これはおかしなことをいわれる。それならなぜ、この聖騎士は避けなかったんですかね?」


「この人だけなら避けることもできたかも知れませんけど、そうするとこの馬が真っ二つになっていたでしょうね」


ジルの問いにシンゴは気を失ったままのレオナルドの側を離れようとしない白馬を見ながら答える。


「なるほど。立派なものですな」


ジルの言い方は少し皮肉めいていたが素直に感心しているようでもあった。


「ところでこの方はこの後どうなるのです?」


「生きているのでしょう?それならば捕虜ですな。聖騎士ですからそれなりの扱いになるでしょう」


 ジルの言葉にシンゴは胸をなでおろす。どうやらレオナルドは無意味に殺されることはなさそうだった。

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