終局
兜を着けた騎士をクロエ達が包囲していた。
クロエが兜を付けた騎士の前に出て来て話しかけた。
「本当に今日は何度も裏をかかれてばかりです。ですがこれで終わりです。多和田さん、観念してください。あなたが騎士に扮しているのは、分かっています。」
クロエの語りかけに、騎士はだんまりだった。
クロエは続けて語りかけた。
「だんまりですか、まあいいです。ではお覚悟を!」
言い終わるとクロエは手を上げた。
騎士達も武器を構える。
すると兜を着けた騎士が兜を脱いだ。
そしてそれを見た一同が驚いた。
クロエが真っ先に口を開いた。
「あなたはパトリック?なぜあなたがここにいるんです?」
騎士パトリックは上手く喋れないようだった。
するとクロエが詠唱を始めた。
「懐深き神々達よ、その身を覆いし穢れを清めたまえタルジフ。」
すると騎士パトリックは白い光で覆われ、喋れるようになった。
パトリックがクロエに話す。
「申し訳ありません、クロエ様。」
クロエがパトリックに聞き返す。
「パトリック一体何があったのです?」
パトリックがクロエに答えた。
「何者かに後ろから昏倒させられて、目を覚ますと建物の中にいました。すぐにご報告しようと思ったのですが、口の中に大量の唐辛子が入れられており、詠唱する事が出来ませんでした。他の騎士を探そうと建物の外に出たのですが、見つけられず、ずっと探していたのです。」
これを聞いたクロエはガックリと膝を落とすと呟いた。
「また裏をかかれてしまいました。」
そこにティアが話に割って入った。
「て事は、多和田さんはパトリックを昏倒して建物の中に隠した後、また身を潜めて私達がヤード村に戻ってきた頃を見計らって、今度は本当に崖下に降りて渓谷を通って逃げちゃったって事か。」
更にローラがティアに言った。
「しかも騎士団を村に戻している間にかなり時間を使っちゃうたし。もう今からじゃ飛行魔法で追っても追いつけない。」
更にティアが続ける。
「国境を越えられちゃうと私達の管轄じゃ無くなちゃうし。完全に失敗しちゃったね。ジール大公に何を言われるやら。」
クロエは立ち上がると、ティアに話しかけた。
「失敗の責任は全て私にあります。」
クロエは下を向いて話した。
ローラがティアを励ます。
「クロエ誰にでも失敗はあるもんだよ。」
ティアがローラに続いてクロエに言った。
「そうそう、いちいち気にしても仕方ないって。」
クロエはフッと笑うと二人に返答した。
そしてクロエは指示を出した。
「フフ、それもそうですね。では国境の部隊に連絡を入れてくれますか?勇者を見つけ次第私に報告をあげるように。但し勇者を見つけても手出し無用と。」
ローラがクロエに聞き返す。
「なんで、見つけても手出し無用なの?」
クロエがローラに答えた。
「国境にいる一般兵では勇者を止められません。返り討ちに合うのは目に見えています。」
ローラとティアは納得した様子で相づちをうった。
もう日が暮れて夜が訪れようとしていた。
クロエは静かな声で呟いた。
「多和田由さん、厄介な人でした。」
言い終わるとクロエ達は騎士達と共にヤード村へ帰路についた。




