ジール大公
僕はクロエに聞いてみた。
「なんでこんなに色々教えてくれるの?僕を殺すつもりなんだろう?」
クロエが僕に答えた。
「ええ。ですが看破されたので理由ぐらいは教えて差し上げようかと思いまして。」
その直後どこからともなく変な音が聞こえてきた。
ピローン、ピローン、ピローンと聞こえた。
するとクロエがまた詠唱を始めた。
「今この時縁と縁、心と心を結ばん、リタラキー。」
クロエが詠唱を終えると、青い光のようなものが僕らの前に現れて数メートルの高さに登って止まった。
そして数秒後、男の声が響き渡った。
「あっはっはっー!壮健かな?終焉の魔女殿。こちらは少々立て込んでいてね、連絡が遅くなった。」
その声に対して、クロエが返答する。
「お久し振りでございます。ジール大公様。わざわざご連絡頂き有り難うございます。」
ジール大公と、思われる声が答える。
「勇者狩りの件だったな。もちろん了承だ。卑しき勇者はとっと殺してしまってくれ。脅威の芽は早々に摘んでおくに限るからな!」
続いてクロエが返答する。
「了解しました、他の国々の了解は頂いておりますので、この後執行致します。」
ジール大公がクロエに返答する。
「そうか、この目で勇者の無様な死に様を見れないのはまことに残念だ。だが汚れ仕事はそちらにお任せするとしよう。何せ騙し討ちの達人、終焉の魔女殿がいらっしゃるのだからな!では失礼させて頂く。あっはっはっー!」
そう言い終わるとジール大公の声は途切れた。
青い光もいつの間にか消えていた。
これは電話のように遠くの相手と会話できるのか?
クロエが僕の方を振り返ると話しかけてきた。
「今のは遠くの相手とも会話できる通信魔法です。」
更にクロエが僕に言った。
「そうそう言い忘れていました。勇者狩りに執行条件についてです。責任者複数人での確認後、各国首脳に了承を貰わなければなりません。他の国々の首脳方からはすでに了承を頂いております。ジール大公の連絡待ちだったんですよ。」
なるほど、今まで悠長に質問に答えてくれてたのは、時間稼ぎの為だったのか。
そしてクロエはスッと右手を上げた。




