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目を開けてみたらそこはもう異世界でした。
とどろく轟音、時刻は既に深夜に入っていたが、村の家々からは、火の手が上がりっていた。
恐ろしく獰猛な魔物達から逃げまわる人々の悲鳴でそこは地獄と化していた。
「魔物だー逃げろー。ひえー助けてくれー。」
人々はただ恐怖から、逃げまわるだけであった。
そこから少し離れた小高い丘に村から逃げてきた人達が集まっていた。
「もうおしまいじゃー。この世の終わりじゃ。」人々が口々に諦めた言葉を言っていた。
しかし一人だけ長老と思われる人物が落ち着いた様子で話し始めた。
「世界が混沌せし時光の鍵盤携えし勇者が現れ闇を打ち払うであろう。」
村人の一人が言った。
「そんなのただの言い伝えだろう。」しかし長老は答えた。
「もはやわしらには勇者の登場を待つしかないんじゃ。」