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無気力系戦乙女  作者: オリオン
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終りは終り

……ラグナロク、世界が沈む日。

そんな日をどうすれば止めることが出来るか。

そんな事はどうでも良い、私はただ大事な奴らを守りたいだけだ。

私の今の意思はそれだ…きっと、いや、間違いなく。

この意思だけは変わらない…変わるはずも無かった。

ずっと、思ってたことだから。


「……あぁ、当たり前の事ではあった、僕じゃ勝てないよね」

「…ロキ様」

「はは、僕は羨ましいよ、君がね」


ラグナロクは終わった…私達は全力で最後の日に抵抗し

その結果、世界の終焉は終りを迎えることになった。

終りが終わるというのも、また妙な感じではあるがな。


「…僕はね、争いって奴をどうすれば終わらせる事が出来るかを考えてたんだ

 前にも言っただろう? 争いを終わらせるには、全てを終わらせるしかない」

「だから、ラグナロクを?」

「…そうと言えばそうなるのかな? いやまぁ、ちょっと違うんだけど。

 争いを終わらせたかったのも事実だし、オーディーンを殺したかった

 それもまた真実と言う事だよ…あいつは、正義の味方ぶってるのが嫌いだ。

 自分は散々してるくせに、僕がちょっと何かやったらすぐに騒ぐ。

 本当に自分勝手で、絶対に殺したい奴だったんだけどね」


…確かに私も散々な目には遭った、殺してやりたいほどに。


「でもさ、僕の場合は止めてくれる奴が居なかったんだよね。

 いやぁ、トールの奴は止めてくれたんだけどね」

「だったら、その時に止まれば良かったじゃないか

 止まらなかったのはお前の勝手だ」

「あはは、ごもっとも、流石1度闇に落ちた戦乙女、説得力あるね

 そして、君自身も…人に恵まれたたちだ。

 良かったね、優秀な弟子がいて」

「……その通りだな」


…私はどうすれば良いのだろうか、この状態でロキ様を…


「……さて、エリス」

「…はい」

「悩んでるのかな? 僕を殺す事」

「……」

「…殺しなよ」


……ロキ様、何故、私にその様な事を。


「何故私に…?」

「どうせ、殺されるならさ…仲良くしてた奴に殺して欲しいかなって…

 最後の願望…あはは、いやぁ、僕は基本的に願望なんて言わないけどさ…

 大体、願うよりもまずはどうすればその結果に至かを考えるからね。

 そんな僕の、最初で最後の願望だ、こればっかりは…僕じゃどうしようもない。

 だから…お願い、僕を殺してよ、僕は敗北者だ、負け犬だ。

 それは、生まれた時から…最後の瞬間まで…変わらないけど、でもさ。

 最後に…願いが叶ったら…少しは報われるかなって」


弱々しい声だ、いつものような馬鹿にした声ではない。

本気だ、本気の声だ…ロキ様は、本気で…


「……」


私は剣を強く握る、この願いに報いるために。

ゆっくりと剣を上げ、ロキ様の首に狙いを定めた。


「…ありがとう」

「おさらばです、ロキ様!」


ロキ様の首に私の剣が振り下ろされた。

だが、その剣が当ったのはロキ様ではなかった。


「……そ、そこまでに…して欲しいわね」

「トール様!?」

「トール…なんで」


トール様の身体に私の剣が当った、いくら鍛えていても

フルルートは対象の弱点となる剣…流石のトール様でも無傷ではいられない。


「いやだってさ…格好いいじゃないの、裏切った筈の親友を庇うって…ケホ!」

「トール様!」

「痛たぁ…でも、浅いわね、ふふん、あれね、エリスちゃん、迷ってたわね」

「そ、それは…」

「だ、駄目じゃない、う、裏切り者相手に手加減しちゃ…でも、ありがとう

 私の親友を殺す事、躊躇ってくれて、ふふ、ロキも多分喜んでるわよ」

「お前…余計なことをするな!」

「……バルドル様の件、わ、私が何とか言っておくから…

 ひとまずは…あれね、ろ、牢で…うぅ」

「トール様、今すぐ手当を!」

「ごめんなさいね、いやぁ、なんで正面に立っちゃったかなぁ…

 まぁ、止められるとは思わなかったけど…身体を張ることはなかったかも」

「…全く、お前は…どうして裏切り者である僕を守ろうとしたんだよ」

「ほら、親友の死に目とか見たく無いしね…」

「それでお前が死んだらどうするんだよ!」

「だ、大丈夫よ、え、エリスちゃんが本気じゃないのは、わ、分かってたし」

「それでも、お前!」

「…ふふ、しかしまぁ…私の事、心配してくれて、嬉しいわぁ」

「ふざけた事を言ってる場合かよ!」

「涙目のあんたを見るのは初めてだし、た、多少は、か、からかわないと

 普段、か、からかわれてるお返しって…奴よ」

「……本当に、馬鹿な奴だ」


…トール様の傷は致命傷になることは無かった。

そのまま、私達はラグナロクを生き残る事が出来た。

神々に対して反乱を起した私…しかし、お咎めなどはなかった。

ロキ様もトール様の協力もあり、罪は軽くされた。

だが、それでもかなりの長い間だ、牢に叩き込まれることだろう。

だが、私は罰が与えられていない…ニール達のお陰だというのは間違いないだろう。

だが…本当にそれで良いのだろうか、私だけがなんのお咎めもないとは。

……それにもう、戦乙女は必要無いだろう。

もはや争いは消えた、魔物が多少残っているとは言え

その程度なら人間達でも対処が出来るだろうからな。

…さて、私はどうしようか、全てが終わって…私は…どうしようか。

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