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無気力系戦乙女  作者: オリオン
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漆黒の意思

剣を握った、久し振りに自分の意思でハッキリと。

初めて、剣に本気の殺意を込めた。

今まではただ仕方なく排除していただけだ。

だが、今回は違う…今回は私に害を及ぼすからでは無い。

やれと言われたから仕方なくやるわけでもない。

ハッキリと、自分の中で決意し、この剣を握る。


「さぁ、ラグナロクを始めよう…

 世界が最後に聞く、終焉の音を響かせよう。

 これが、最後の戦争だ」


バルハラに戻ったとき、そこは夕暮れだった。

これから最後の戦争が始まる。

神々を巻き込む、本来あるべき戦いが。

人々を影で操っていた裏切りの神を巻き込む、本来あるべき戦いが。

私は、そいつを殺す…私から全てを奪った、あいつを屠ろう。

お母さんから譲り受けた剣で、私はお父さんとお母さんの無念を果たす。


「この時が来たか、我らの勇士をオーディーン様に見せるときが!」


エンヘリャル……か。


「行くぞ! この戦いを生き残る!」


エンヘリャル達は私達に向けて突撃を始めた。

周囲を見渡せば、巨人族の姿もあった。

恐らく…いや、間違いなく指示をしているのはロキ様だ。


「うおぉおお!」

「……どけ、私の前に立つな」

「な、うわぁあああ!」


……くだらない、くだらない、くだらない!

エンヘリャルになるために戦争をする連中など!


「な、なんだ、あいつ…う、うおぉおお!」

「邪魔だ!」

「がぁ!」


エンヘリャル達が中に浮く、私の力で吹き飛ばされていく。

まるでゴミだ、全く役に立たない虫けら共が。


「う、嘘だろ!」

「どうした? 強く、勇敢なんだろう? 貴様らは。

 それが! こんな小娘1人に恐れおののくとは無様だな!

 手も足も出ず、ただ無様に敗北するだけか!?」

「く、くそぉお!!」

「貴様らが何故エンヘリャルを志したかは知らん!

 ただ家族を守る為に戦い、敗北しただけかも知れん!

 だが、例えどんな理由があったとしても! 私の前に立つなら排除する!

 邪魔者は力で制する、それが、戦争だ!」

「あ…あ、あぁ…」

「……その鎧、あぁ、見覚えがあるぞ…私の父を殺した国の鎧だったな」

「ひ!」

「……こんな腰抜けが勇敢とは、くだらないな!」

「ぐげ!」


……ふん、数ばかり揃えるだけで、この程度か。

ただ飯ぐらいの役立たずではないか。


「ひぁ…あぁ」

「神を護るべくして蘇った勇敢な英雄様が

 その神の命を狙う小娘の道を空けるとは、勇敢等とよく言ったものだな」


エンヘリャル達は私の道を阻もうとすら思って居ないようだった。

こんな連中が…こんな連中の為に……ふん、こんな雑兵を集めるためだけに

私の家族は…


「……う、うわぁああ!」

「……囲めば勝てるとでも?」

「な」

「アースブレイク」

「がは…」


エンヘリャル達は宙に浮いた後、地面に落下した。


「……」


本当に、まるで歯ごたえが無い…それなのに!


「私の前から…消えろ」

「らぁ!」

「く!」


エンヘリャルとは違う重い一撃…だが、軽い!


「ち!」

「ふん!」

「うぐ!」


…私の剣を避けた、勘で振っただけだが、手応えはあったな。


「……何がどうなった…何故、そんな事になった? 答えろ、エリス!」

「……あぁ、お久しぶりですね、アルヴァト様。

 剣を打ち合ったのは、これが初めてですかね。

 道理で今まで感じた事が無いわけです」

「……く、私は確かにお前に不意打ちを仕掛けたはずだ。

 気配は殺した、さっきも殺しての攻撃だったはず。

 それなのに…なんだ、あの動きは…一体、ヘルへイムで何があった!」

「……何もありませんよ、私の意思が変わった以外、何一つ」

「なら、その力は元々だったと? 馬鹿な! 今まで見てきたが」

「私は無気力な戦乙女、任務に全力を投下してはいませんよ」

「…馬鹿な、全力を出していなかったのに、あれほどの戦果を残した…だと?」

「そうなりますね、さて、アルヴァト様、足が震えてますよ?」

「く……」

「戦う気力が無いのなら、私の目の前から消えることをお勧めしますよ。

 私の狙いはオーディーンただ1人、他には興味がありません。

 ただ、邪魔をするなら排除する…戦うというのなら容赦はしません」

「……貴様、普段は二刀だったな、だが、今は一刀…」

「えぇ」

「な! 私のヴィルトルが!」

「あなた程度、一刀でも容易だと言う事ですよ。

 最初から、実力の差は明確でした。

 不意を突いてもなお、私に傷1つ付けることが出来なかったのに

 私と戦って、勝てると…ほんの僅かでも思ったのですか?」

「く…ふ…」


……さて、邪魔者は排除したな、しかし、アースガルドへの道にしては

随分なザル警備では無いか。


「……あなたが強すぎるだけだと思うわよ…エリスちゃん」

「軍神たるあなたにそう言って貰い、光栄ですよ」

「…なんでよ」

「はい?」

「なんで…なんであなたまで私の手から離れるのよ!」

「……」

「ロキも、罪を犯し…私が裁いた…そして、今度はあなた?

 何でよ! なんで、私だって辛いのよ…気に入った相手を

 仲の良い相手を、この手で潰すなんて!

 今まで、力を得て嬉しかったとは思わなかった…でも。

 今、この瞬間ほど…この力を呪ったことは無いわ!」

「……ご安心くださいい、トール様…私はあなたで躓くつもりは無い!」

「……なんで、何でこんな事に…私だって、戦争なんて大っ嫌いなのよ!」


トール様、恐らく、この方が最大の鬼門だ。

ここさえ越えれば、オーディーンは目の前だ。

私の狙いはただオーディーンただ1人、トール様を排する必要は無い。

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