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無気力系戦乙女  作者: オリオン
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思い出したくもない過去

バルハラ学園、戦乙女を目指す人達が通う学園。

そこに入学すると決めたとき、師匠は私に剣をくれた。

ファンファーレ、将来使いこなしてる私を楽しみにしてるって言って。

何年間も鍛えて貰った、今の私は凄く強いとは思うが。

だけど、師匠には1度だって勝てたことが無かった。

だから、いつか師匠よりも強くなる!

お母さんを助けて、師匠を超える!


「では、交流として、先輩と打ち合って貰う」

「はい!」


戦乙女の初期試験のような物、いや、ただの交流会か。

正直、先輩と打ち合って勝つのは難しいだろうからな。


「では、エリス・ビスキック!」

「はい」


先輩か…と言う事は、18程かな。

私はその先輩と剣を打ち合った。

だが、一撃一撃は軽いし、動きも単調で読みやすかった。

少しだけトリッキーに動こうとしているのは分かるが

その動きの予想は容易に出来る。

こんな相手、師匠と何度も打ち合った私なら容易に倒すことが出来る。

だが、目立ちすぎるとお母さんのお世話が出来なくなるんじゃないか?

神々に接触するためにはここで先輩を撃破する方が良いのかも知れないが


「……あ」


私はその先輩に負けた、その先輩は息を荒くしている。

大して激しい動きをしたわけでは無いのに、体力が無いのか。




「…ふむ、母親の病を治して欲しいと?」

「はい!」


あるとき、バルハラ学園に神様がやって来た。

この神がバルハラ学園にやって来た理由は

バルハラ学園で首席を務めているメアリーと言う人物を見るためらしい。

人間でありながら、バルハラ学園の首席を取れるほどの実力者。

だから、神はその特異さが気になり、接触しようと学園に来たらしい。

私は偶然にその神に接触し、この事を告げた。


「…なんとか手が無いか、考えておこう」

「本当ですか!?」

「あぁ、苦しんでいる人間を助けるのは神の仕事だからね」

「ありがとうございます!」

「私の名前はフレイ、まぁ、それなりに力もあるさ」


これでやっとお母さんは助かる、お母さんが助かるんだ!

私はすぐにお母さんにこの事を話した。

お母さんはドンドン衰弱していって、

今ではベットから起き上がることが出来なくなっている。

だが、お母さんは私が帰ってくる度にお帰りなさいと言ってくれるし

私が話をするときは、いつも笑ってくれていた。

無茶をしているというのは分かる。

でも、それも、もう少しで終わるんだ、神様が助けてくれるから!




「え!? お母さんを治せない!?」

「うん、悪いけど」

「な、何でですか!?」

「難病だ、神々でも治せない難病だったんだ」

「そんな…!」


お母さんが助からない…そう告げられたのは2年に上がったとき。


「……そんな」

「でも、時間が経てば、方法が見付かるかも知れない、尽力はするよ」

「お、お願いします…!」


お母さんにこの事は話せなかった、神でも治す方法が分からない病。

そんな事を、母に話せるわけがない。

母はドンドン衰弱していった。

ずっと前からお医者さんが付きっ切りで看病しないと駄目な程に悪化していた。


「も、戻りました…」

「エリスちゃん、どうかしたの?」

「い、いえ、な、何も」


…まだ諦めない、私は絶対にお母さんを助ける。

戦乙女になれば、自分で探してお母さんを救う手立てが見付かるかも知れない。



3年目、私は無事に3年生になった。

成績は中の下、戦乙女になれる最低限のラインであり

最も目立たないレベルだろう。

優秀な学生はバルハラ学園で行なわれるイベントにことごとく呼ばれるからな。

部活動とやらにも参加して欲しいと言われるだろう。

だが、私はそれに参加するわけには行かないし

イベントに参加することも出来ない。


「…えっと、今日は交流会を行なうわ、皆も最初経験したでしょうけど

 新しく入ってくる新人と打ち合う、伝統行事のような物ね」


メアリーという人物は人気も高く、生徒会長になった。

首席が生徒会長になるのは当然と言えば当然かな。

しかし、組み手か…最初にしたが、意味があるのだろうか。


「まぁ、言うまでも無く、負けることは決して許されないわ!

 先輩として新人に負ける訳にはいかないでしょ!?」

「そうですね! 負ける訳にはいきません!」

「絶対に勝つ! 新人に負けるかよ!」

「何人が人間なんだろうな、実力を見せてやる!」


上位陣の殆どは半分が神の半神。

そもそも、中の下にいる戦乙女の殆どだって半神だ。

やはり人間の身で戦乙女の上位に入るのは難しい事なのだろう。


「それじゃあ、行くわよ!」

「おー!」

「……ち、人間のくせに」


メアリーは人気が高いが、人の身でありながら

学園トップだという事に嫉妬をする学生も少なくはない。

不意打ちで襲われそうになっている所を見たこともあった。

その時はバレないようにメアリーを攻撃しようとした学生を無力化もしたな。

そう言うのは、流石の私でも見過ごせなかったからだ。

でも、バレては居ないだろうな。

そう言えば、メアリーが私の後を付けていたことも何度かあったな。

まぁ、全て巻いていたが。

しかし、メアリーも中々に大変な立場だろう。

学園の上位、その上位付近に自分と同じ人間は居ない。

だから、半神達からは妬まれたり、話をする相手も少ない。

それでも実力故に生徒達を仕切らないと駄目だなんて。

とてもじゃないが、私では出来ないだろうな。


「はい、次はニール・ママーリエ」

「はい!」


小さい子だな、こんな小さいというのに戦乙女を目指すのか。

だが、その目は真剣その物で確かな意思を感じる。


「よ、よろしくお願いします!」

「あぁ、よろしく頼む」

「始め!」


彼女の攻撃は乱雑で型も何も感じなかった。

ただ適当に剣を振るっているような、そんな感じ。

だが、その剣には確かな鋭さもあって、ただ戦い方が分かってないだけに思える。

きっと、戦い方を教えてくれる誰かが居れば、もっと強くなるだろう。


「あぅ!」


だが、適当に振るうだけの剣では流石に私には勝てない。


「はぁ、はぁ、はぁ、ま、負けた…」

「お前はもっと強くなれる。諦めるなよ」

「……は、はい!」


それから、彼女は私に稽古を付けて欲しいと付きまとってきた。

その度にあしらっていたが、諦める気配が無かった。

だから、圧倒的な実力を見せ、諦めるように仕向けたが

余計に熱を上げてしまったようだ…はぁ、だが、少しくらいは良いだろう。


「……」

「……」


ある日、家に帰ったとき…そこは明らかに我が家では無かった。

何人もの人達が私の家の前に集まっていた。

私は…すぐに全てを察した、何があったかを受入れたくは無かった。

それでも、私は妙に勘がさえていた、私は私を憎んだ、怨んだ。


「…エリスちゃん…」

「……私…私は…そんな、そんなの…そんなの!」

「……ごめんなさい、私の力不足で」

「……う、うぅ、うわぁああぁああ!!!」


本気で泣いた…この年になって本気で泣いた。

足に力は入らない、手にも力は入らない。

もう…何も……何もしたくない。

だって…私が何をしても、どれだけ本気で何かをしようとしても。

私には…何も出来ない、何も変えられない、私は無力だ。

私は…私は何をしても…なんの役にも立てなし、何も…出来ない。

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