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無気力系戦乙女  作者: オリオン
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冥府の女王

「師匠、教えてください…師匠に何があったのか。

 何故、何年間もこのヘルへイムにいたのか」

「…あぁ、そうだな、敗れたのだから伝えねばな」


師匠がこのようになってしまった理由。

私は気になっていた。

むしろ、気にならないわけが無い。

私が大好きだった師匠が、何故、こんな風になってしまったのか。

今は前の師匠だが、あの時の師匠は明らかに別人だったのだから。


「私はな、このヘルへイムにて冥府の女王、ヘルに遭遇した」


ヘル…今回、私達がヘルへイムに向った、本来の理由。


「私は、そのヘルと交渉をした。

 バルハラの神々と協力して欲しいとな」


協力…バルハラはヘルへイムの勢力に危機感でも感じていたのだろうか。


「だが、結果は交渉は失敗、何故かヘルと戦う事になった」

「何故ですか?」

「分からない、ただ私は邪魔だとな」

「なんで…?」


師匠が邪魔というのがよく分からない。

何故、冥府の女王であるヘルが師匠を邪魔だという?


「私は仕方なくヘルと戦った、少しは優勢だったのだが

 あるイレギュラー、厄介な相手が出て来たんだ」

「厄介な相手…ですか?」

「…何故、冥府の女王であるヘルに力を貸したのかは分からない。

 だが、明らかにあの方だった…」

「その方とは?」

「それは…」

「あらあら、お客さんですか、今日はあまりにも多すぎますね」

「く!」


なん! 大量の怨霊が私達を包むように飛びかかってきた。

急いで私は周囲の怨霊を排除した。


「し、師匠!」


だが、私との戦闘で負傷していた師匠は怨霊を振り払うことは出来ていない。


「くぅ…」

「師匠!」

「あなたは私が担当するわ」

「うぁ!」


引っ張られる! このままだと師匠が!


「師匠! 師匠!」

「…エリス」

「師匠!」

「……私みたいにはならないでくれ、自分の欲を……」

「師匠!」


師匠の声は段々と小さくなっていった。

師匠が怨霊に呑み込まれているからではない

私がドンドン師匠から離れて行っているからだ。

私を引っ張っているのは誰だ? 冥府の王ヘルか!?


「この! は、離せ!」

「ありゃりゃ」


どれだけ引っ張られたか分からないが、なんとか私は拘束から逃れた。


「はぁ、はぁ…お前は」

「私目当てで来たんじゃ無いの? まぁ、姿を見せたことはないしね」


紫色の長い髪に紫色の瞳、衣服は薄い半透明な服装。

上と下はどうやら、その1着だけで兼用しているようだった。

髪にはドクロの様な髪留めがしてあり

腕にはドクロの腕輪がしてあった。

何より特徴的なのは、身体の左半分が青く変色しているところだった。


「でも、これを見れば分かるんじゃ無いかしらね」


その女が指を鳴らすと、グッタリとしているヘルモーズ様が姿を見せた。


「ヘルモーズ様!」

「あなた達の目的は知っている、バルドルを蘇生して欲しいと。

 でも、私の予想では、あなたの目的は違うみたいだけどね」

「……ヘルモーズ様に何をした! 冥府の女王…ヘル!」

「やっと分かったのね、ふふ、別に何もしてないわよ。

 少しだけ意識を奪っただけ…にしても、バルドルの蘇生ね。

 別に良いわよ、蘇生は」

「え?」

「ただし条件が2つ、1つは世界中の生物がバルドルの為に泣く事。

 もうひとつはしばらくの間、人質としてあなたを冥府に置くことよ」

「…え? 何故、私を…」


人質としてはヘルモーズ様の方が効果的ではないのか?


「この事は、もうヘルモーズの意識を奪う前に伝えているわ」

「…では」

「えぇ、だから、こいつは帰すわ、伝令も頼まないといけないしね」


ヘルが指を鳴らすと、ヘルモーズ様の姿が消えた。


「この死者の国に、生者は不要、あなた以外の生者はアースガルドに戻したわ」

「師匠は…」

「あの子もね、死なれたらそれはそれで困るし」


よ、良かった…し、師匠は無事だと言う事か。


「…しかし、気になることがあります」

「何かしら?」

「何故、私を人質としたのですか?」


そこが分からない、そこが最も分からないところだ。

私は使い捨ての戦乙女だぞ…ただの戦乙女である私が人質として効果は無い。


「そもそも、人質の意味も分かりません」


この取引は神が持ってきた取引、人質を取るまでも無く

神々はヘル様の言葉に従うに違いない。

元々、バルドル様自身が人質の様な物でもあるからな。


「既に冥界はバルドル様という人質が居る、だと言うのに、私という

 なんの効果も発揮しない、ただの戦乙女を人質にするのは」

「あなたは自分の価値が分かっていないのね」


私の価値…そんな物、全くと言って良い程無い筈だ。

無気力な戦乙女である私に価値など無いだろろう。


「ふふ、正確に言えばね、あなたの価値は神々にとってだけなの。

 つまり、私には殆ど価値が無い」

「え?」

「何が言いたいかと言えば、あなたは邪魔なのよ」

「ひぐぅ!」


…なん…ゆ、油断してた、ひ、人質と言うから…


「はい」

「…う、く」


は、腹を突かれた様に感じたが…何も変化がない?


「ビックリさせちゃったかしらね? ふふ、殺しはしないわよ。

 さっきも言った通り、あなたは人質だからね」

「…何の為に、あ、あんな事を…」

「まぁまぁ、神々の返事が来るまではのんびりしましょう。

 こんな薄暗い冥界じゃ、ちょっと嫌でしょう?

 だから、私の家に来なさい…家というか、仕事部屋かしらね」

「あ、は、はぁ…」


な、何が狙いなんだ…何の為に私を攻撃するような真似をしたんだ?

い、意味が分からない。

だが、従うしかないだろう…私が変な事をして

バルドル様が蘇生されなければ不味いからな。

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