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無気力系戦乙女  作者: オリオン
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ついに降りた許可

…ヘルへイムへの旅路、それがこのタイミングに来るとは。

命を落としてしまったバルドル様を蘇らせるついでに

師匠の捜索を依頼された。

何故師匠の捜索がついでなのだろうか。

私からして見れば、バルドル様の蘇生はどうでも良い。

それよりも、師匠の安否を捜索する方が重要だ。


「エリス、君もバルドルの蘇生は重要か」

「…そうですね」


ヘルモーズ様…バルドル様の弟様か…蘇生か。

私はどうでも良い、顔を見ただけの男の事などどうでも良い。

かといって、無下にするわけには行かないだろう。


「そうだろうな、バルドルは誰からも愛される兄だったからな。

 その兄が、何故命を落としてしまったのだろう。

 一体! 私の兄が何をしたというのだ!」


何もしてない…何もしてないじゃないか…何にも…してない。

ただ生まれて、美貌を持って、神々に愛されて…不死の身体を得て…

何もしていないのに…何もしようとしていなかったのに…何も…


「……左様ですね」

「必ず、兄は俺が蘇らせてみせる!」

「…はい」

「君の仕事は確か姿を消した戦乙女の捜索だったな」

「はい」

「そんな事よりも兄を蘇らせる方が重要だろうに、お前も災難だな」

「……」


あぁ、なる程…これが殺意か、初めて殺意が湧いた。

私からして見れば…師匠が無事であれば何でも良いんだ。

顔が良いだけの男が死のうが死ぬまいが、蘇ろうが蘇れなかろうが

私には関係ない、私はそんな事に興味は無い。

私は…師匠が生きてさえいてくれれば、それで良い。


「…ん? 別れ道か」

「どっちが正解でしょうか」

「…右だな」

「分かりました」


一応はヘルモーズ様の護衛もあるからな、この人の判断で動くしかないか。

しかし、護衛1人というのは奇妙な体勢だな。

本来はニール、メアリー、スルズも来る予定だったが

巨人に奇妙な動きがあると報告があって、そっちに行ったんだったな。

そして、私がこっちに選ばれた理由は師匠の顔を知っているのが

他の戦乙女で私しかいないというのが理由だった。

私1人に護衛を頼んだのも、力の弱い戦乙女が

ヘルへイムに向うのは危険だというフレイヤ様の判断だった。


「本当にフレイヤ様には頭が下がるな」


しかし、流石死者の世界、ヘルへイム…暗闇で何も見えやしない。

にしても、ちょくちょく湧いてくる怨霊が厄介だな。

剣で切ることが出来るのがありがたいが。

そう言えば、ホーリーリリースで無条件に撃破が出来ると教えられたが

あまり力を多用するのは長期戦になるかも知れないこの場では不味いだろう。


「っと…ヘルモーズ様、大丈夫です…あれ?」


な、なんで…そんな、さっきまでヘルモーズ様は…私の隣に居たはず…

でも、今、私の隣にはヘルモーズ様の姿は無かった。

そんな馬鹿な…どうして…どうなってる!?


「く! まさかはぐれたか!」


このままでは不味い…急いで合流しないと、こんな怨霊だらけの空間だ。

いくらオーディーン様のご子息とは言え、この怨霊だらけの空間では!


「……」

「ん?」


足音? こんな怨霊しか居ない空間で足音だと?

そんなはずは…ヘルモーズ様か?

恐らくその可能性が高いだろう。

さっきまであの方は私の隣に居たんだ。

だから、まだ近くに居るのは間違いないだろう。


「ヘルモーズ様! 勝手に移動されては危険ですよ!」


…おかしいな、返事がない。

そんなはずは無いと思うんだが…


「ヘルモーズ様? お返事をお願いします!」

「……」

「…ヘルモーズ様…?」


違う…のか? なんの返事も無い…そんなはずはない…


「…ん?」


足音がしたと思われる場所に移動したが、そこにヘルモーズ様の痕跡は無かった。

おかしい、そんなはずは…と言うかだ、痕跡が一切ない。

ここには確かに誰かの気配があったはずだ、物音もあった。

だが、痕跡は一切ない…そんな事、あり得るのだろうか。

ここにいたのが怨霊だというならあり得るかも知れないが

怨霊は基本的に音は鳴らない。

つまり、ここにいたのは確かに実物がある何か。


「…もしかして」


もしかしたら、師匠かも知れない! 師匠なら痕跡を残さないことも出来るはず!


「リリアス師匠! 居るんでしょう! 聞えてるなら出て来て下さい!

 私です! エリスです!」


…ち、私の声に気付いて出てくるのは怨霊ばかり。

何故師匠は私の声に反応してくれないんだ。

確かに聞えてるはず…なのに、何故返事をしてくれない!


「邪魔だ! 怨霊共!」


全く、切っても切っても湧いてきて煩わしい!

今は師匠を探さないといけないんだ…お前らから足止めを食らう時間は無い!


「どけ!」


クソ…邪魔くさい! しつこい!


「師匠! 師匠! 返事をして下さい、師匠!」

「……うるさいな」

「へ? い!」


…暗闇から剣…鋭く素早い攻撃…剣で受け止めたというのに

私の剣を押して、身体に当るなんて…並の実力じゃない。


「ふーん、少しくらいは実力を付けたみたいだな」

「……その声、それに、あの攻撃の威力は…」

「久し振りだな、エリス、こんな薄暗い所で出会えるとは奇遇だな」

「…リリアス師匠」


私に攻撃を仕掛けてきた相手は…師匠だった。

おかしい、なんで…なんで師匠が…


「なんで…あなたが私に攻撃を…」

「…邪魔だからだが?」

「え?」


……そんな、筈は…

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