私が変わるべき日
例の魔物騒動から再び1年経過した、大した問題など無く私はバルキリーとして生きる。
聞いた話では同期のバルキリーは3人ほど命を落としたそうだ。
確か巨人との戦闘により死亡したと聞いた…仇討ちに行きたいと言う気持ちは
少しだけ生まれたが、何に対してもやる気が生まれない私の気持ちでは
すぐにその気持ちは失せてしまった。
そんな時、偶然というか当然なのだがバルハラにニールがやって来た。
バルハラ女子学園の3年目は卒業少し前に実地で先輩バルキリーと共に
ちょっとした仕事をする、職場体験のような事をする。
基本的に誰の元について仕事をするかというのは
学級で最も実力がある生徒が先に決める。
「じゃあ、最後にニールだな、と言っても1人しかいないが」
「はい!」
ニールが最下位? そんな馬鹿な、彼女の実力は本物だぞ?
それなのに、何故最下位なんだ? そんなはずは無いだろうに。
「先輩! よろしくお願いします!」
「あ、あぁ…なぁ、ニール、何でお前が最下位なんだ?」
「えっと…実は私、先輩が卒業してから…何をすれば良いか分からなくなって」
「自分が好きなように鍛えろ、お前は強いだろう」
「はい…でも、先輩もどうして? 私としては嬉しいんですけど。
何でエリス先輩は他の子達に指名されなかったんですか?
学園にいる間も、エリス先輩の噂は聞きませんでしたし」
「…仕事を殆どしてなかったからな」
「え!? 何でですか!?」
「……理由がないんだ、私には」
「そんな…先輩がそんなんじゃ…私がバルキリーになる理由が…」
「ど、どういうことだ!?」
「今、私はエリス先輩と一緒に頑張りたいからバルキリーになろうとしてるんです
でも、先輩に理由がないなら、きっと私にも理由がありませんから」
「…そ、そんな事!」
「……い、いえ」
……ニールの奴からあの時の覇気がまるで感じられない。
もしかして、私が何も活躍してないからか? だから、ニールのやる気に火が付かない。
私が頑張らないから、私を目標にしてるニールも頑張れない…
駄目だ、ニールはバルキリーにならないと行けないんだ!
私が腑抜けたせいでニールの才能が潰れるのは許せない!
私が頑張ってニールを勇気付けないと行けない!
「…ニール、私も頑張るよ」
「え?」
「お前がバルキリーになれるように、私も頑張る
だから、お前も強くなってバルキリーになるんだ、そうなったら一緒に仕事をしよう
また学園の時みたいに稽古を付けてやるからな」
「先輩…!」
「だから、ニールも頑張ってくれ、私も頑張るから」
「はい! 私、絶対に強くなって先輩と一緒にバルキリーを頑張ります!」
ニールに再びあの時の覇気が戻ったような気がした。
この覇気をニールが維持し続ける事が出来るように私も頑張らねば。
「あぁ、その子ね、ニールは」
「フレイア様?」
「ふ、フレイア様!? 何で!?」
「私は一応バルキリーの統括を担当してるからね」
「あぁ…本当に綺麗です…」
「うふふ、ありがとう、でも、あなたも綺麗よ」
「い、いえ! 私なんかよりもエリス先輩の方が美人さんです!」
「そこで私に振るのか!? い、いや、美人なんて事は無いぞ! 私は!」
び、美人なんて初めて言われた…う、うぅ、同性相手だというのに
どうもそう言う事を言われると恥ずかしい!
「あら、恥ずかしがっちゃって、案外恥ずかしがり屋さんなのね」
「フレイヤ様もからかわないでください!」
「ごめんなさいね、どうも珍しい物だから、うふふ」
「うぅ…」
ま、まさかこんな目に遭うなんて…初めてだ。
「しかし、エリス」
「は、はい、何でしょう…」
「今日は随分と楽しそうね」
「…はい、可愛い後輩と久し振りに会えましたから」
「せ、先輩…私! 先輩に一生付いていきます!」
「な、何だ!? どうしたニール! いきなり抱きつくな!」
「本当、仲が良いのね、あなた達は」
…確かにそうだろうな、私はニールと一緒にいるときは妙に楽しい。
こんな気持ちになれる相手は、ニールだけだ。
「まぁ、この話はここまでにして、今回あなた達に話しかけたのは
仕事があるからなのよ、昨年の魔物襲撃以降、魔物の活動が妙に活発になってね。
今、バルキリー達に調査を頼んでいるのだけど、その調査をあなた達にも頼もうとね」
「私達にですか?」
「えぇ、確か研修は1週間だったでしょ? その間、頼むわ
学園生を危険な場所に付いていかせるわけには行かないしね」
「つまり、1週間の間は殆どのバルキリーが魔物の調査を?」
「えぇ、巨人の監視は誰1人としていないわ、大事があったら困るからね」
確かに巨人は凶暴だ、私の同期も命を落としたほどだったからな。
そんな巨人の監視に学園生である彼女達を連れて行くわけにはいかないか。
バルキリーも足手まといになるかも知れない学園生を連れて
巨人の監視などしたくないだろうからな。
だが、魔物の観察なら大した問題じゃ無い。
学園生も魔物の退治は出来るからな、1匹1匹も大して脅威ではないし
学園生が一緒にいても何の問題も無いだろう。
「あ、あの、1つ良いですか? フレイア様」
「何?」
「何でその指令をフレイヤ様が直々に?」
「あ、一応あなた達だけよ、私が直接指示を出したのは」
「な、何故我々だけ? 私はバルキリーの中では落ちこぼれですが」
「私も…学園生の中では最下位で…」
「それは私があなた達に期待してるからよ、エリス、ニール
特にエリス、私はあなたを結構気にしてるのよ?」
「何故…私なんかを…」
「まぁ、あなたの才能に期待してるから、かしらね
さ、仕事に移って、可愛い後輩に格好いいところを見せなさい」
「は、はい」
何故フレイヤ様が私の事を気に掛けてくれているのか分からないが
先輩としてニールにバルキリーとしての仕事を見せねばな。




